働き方を変えてきた女性たちの軌跡と覚悟 子ども優先で決断した「やめスイッチ」

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今春、会社を退職。今までの経験を活かして女性の多様な働き方を支援する会社を立ち上げた。自営業の責任は重いが、自分でスケジュールをコントロールできるので、子どもと過ごす時間を作ることができる。
「女性は、総合職的なジェネラリストよりスペシャリストを目指したほうが、家庭生活とのバランスはとりやすいのではないか」と阿部さん。女性活躍支援コンサルタントとして、クライアントにも恵まれ順調に再々スタートを切っている。

小学校入学のときは手と目をかけたい

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「阿部さんが仕事を続けていることは、中学受験を目指すお子さんにとってもよいことだと思います」と話すのは都内の学校で教師として働く池田智子さん(仮名、39)。

池田さん自身も子どもの中学受験経験者で、上の子どもの中学受験時には、非常勤で働いていた。母親の自分が受験にのめりこみ過ぎることを避けられたのは、仕事を続けていたおかげだと振り返る。

「子どもに意識が集中しすぎるのはよくないです。本人にしたらプレッシャーになることもありますから」

実は池田さん、大学卒業後都内の小学校で教壇に立ってきたが、出産、育休を経てやめスイッチを押したひとりでもある。「保育園には入れましたが、長時間労働と子育ての両立の難しさから、担任の責任は持てない」と判断してのことだった。さらに、下の子が小学校に入るときには、非常勤も止めて一時休業に踏み切った。

なぜかと尋ねると、教員として小学1年生の担任をした経験から、この時期の家庭生活の大切さを痛感していたからだという。共働き家庭が増えたのが直接の原因とは言いきれないが、子どもになんらかの環境的変化が起きているのではないかとも感じていた。

「学校には来るものの、泣き止まない子がいたりします。入学直後は、宿題を毎日するなど家庭学習の習慣付けが大事な時期。ちょっと見る、声をかけるだけで子どものやる気は変わる」ことを知っているがゆえに、自身の働き方を見直した。

「上の子どもの入学時はちょうど下の子どもの育休中でしたから、宿題の声掛けもできたんですね。下の子はどうしようかと考えたのですが、ここで自分が休職しても、また復帰したらいいと割り切りました」

この春、下の子どもは順調に小学校生活をスタート。ゴールデンウィークを過ぎたあたりで、池田さんは再び復帰することを考え始めた。

「今回も非常勤ですが、補助員なので今までよりも時給も下がります。それでも、子どもとの生活を考えるとこの働き方が今は自分に合っていると思います」

阿部さんも池田さんも、環境の変化や子どもの成長に合わせて働き方を見直してきた。キャリアを中断したり、変えることを恐れない強さが、結果としてキャリアを継続することにつながっている。人生の中で「やめスイッチ」は何度か入るかもしれないが、それは次につながる変換点だとすれば、子どもを持つ女性に勇気を与えるのではないだろうか。

宮本 さおり フリーランス記者

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みやもと さおり / Saori Miyamoto

地方紙記者を経てフリーランス記者に。2児の母として「教育」や「女性の働き方」をテーマに取材・執筆活動を行っている。2019年、親子のための中等教育研究所を設立。

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