RIZIN「手越祐也の国歌独唱を批判」は失礼なのか 手越が辞退し、選手に批判が集まっているが…

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さらに、手越さんは、2020年に緊急事態宣言発令中に酒席に参加していたことが発覚し、芸能活動を自粛、その後、旧ジャニーズ事務所を退所するに至っている。それ以前にも、いくつかスキャンダルを起こしてきた。

これらはすでに時効と言ってよく、手越さんが通常の芸能活動を行ううえでは、なんら問題視されることでもないとは思う。しかしながら、いきなり、手越さんがRIZINに呼ばれて「君が代」を独唱したら、過去のスキャンダルが掘り起こされ、「国家を歌うにふさわしい人物なのか?」という批判を浴びるであろうことは十分に考えられる。

朝倉、平本両選手だけでなく、RIZINのファンの中にも、手越さんの起用に違和感を抱く人は少なからずいたと思われるし、だからこそ手越さんへの批判も巻き起こったのだろう。

さらに、SNSには“愛国系アカウント”の声が非常に多い。何かにつけて、彼らは目立つ人を“反日”認定して叩きたがる。こういう人の批判を気にして萎縮する必要はないが、彼らが火付け役になって、“炎上”が巻き起こることは多々ある。

国歌独唱が実施されていたら、こういった方面からも火がついて炎上が拡大する可能性も十分にあったと考えられる。

国家独唱の中止によって起こったこと

今回は、手越さんは被害者であったと言える。しかし、結果としては、RIZINや両選手のほうに批判が集まったし、手越さんが「大人の対応」をしたことで、むしろ彼の株は上がったように見える。

RIZINのリリース文によると、手越さんは「あくまで試合や選手が主役。ボクは少しでもそれを盛り上げられればという思いで引き受けた。しかし、それが望まれていないのであれば今回の国歌独唱は辞退させてほしい」「それでも朝倉未来選手と平本蓮選手の試合は、変わらず注目をしているし、二人には最高の試合をしてほしいと思っています」と言ったとされている。

手越さんの対応は非常に適切であったと思うし、実際に手越さんへの批判は収束している。

結果的には、手越さんへのオファーを行ったRIZINと、内部で対処すべきことをSNSに投稿して問題を延焼させた平本選手、朝倉選手に批判の矛先が向くことになった。

平本蓮
「君が代」を歌っている動画を載せ、手越さんを揶揄しているかのような投稿に批判が集まった平本選手(画像:平本蓮公式Xより)

このような企画をするべきでなかったのは大前提だが、国歌独唱が実施されて手越さんが叩かれるよりは、辞退をして評価が上がっていることを考えると、今回の騒動は、「収まるところに収まった」と言えるのではないだろうか。

筆者としては、RIZINも誠実に謝罪を行った時点で本件は終了だと考えている。今後、これが蒸し返されることなく、批判合戦も終わりになることを切に望んでいる。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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