現行の救急キットでは多くの自衛隊員が死ぬ 戦闘を想定した準備はできていない<下>

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陸上自衛隊の「個人携行救急品」には大きな問題がある(写真:KAZU / PIXTA)
陸上自衛隊は実際の戦闘による被害を想定していない。筆者はそれの端的な例として個人用のファースト・エイド・キット、「個人携行救急品」の不備を挙げて本サイトで検証した。陸自の「個人携行救急品」は諸外国のそれに比べて劣っている。これには国内用と国外用(PKO用)があり、特に国内用は包帯と止血帯しか入っていない。これは現代の軍隊ではありえないお粗末さだ。今回、この問題について陸幕広報および、衛生部への取材をもとに再検証する。今回はその後編。内容は、やや専門的になるが、問題点を厳密に指摘していく。
<上>自衛隊は、やはり「隊員の命」を軽視している

 

ここで陸自の「個人携行救急品」の海外用(国内用は3アイテム)と米陸軍の「IFAK(Improved First Aid Kit) II」の構成品の違いを再度検証しよう。

筆者はIFAK IIの構成アイテムが18個に対して「個人携行救急品」の構成品は8個にすぎないとしたが、陸幕衛生部が確認したこところ、IFAK IIの構成品は12品にすぎないという。

米軍は携行品数に柔軟性がある

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表1:米軍のIFAKⅡと陸自の個人傾向衛生品の構成品

改めて筆者が調査したしたところ、IFAK IIは従来のIFAKよりも収納力を増やし、個人用アイテム整備の効率化や経済化を図ることを改良の主眼にしており、「米陸軍が専用に装備するアイテム」「米陸軍全員に使用法を習熟させるべきアイテム」として選定した12品目を「基準アイテム」として常備している。

そしてこれを全員に支給しておき、静脈路確保用留置針、留置針固定用テープ、胸腔減圧用脱気針などの病院であればどこでも備蓄しているアイテムは必要の都度調達し、最大18品目まで補完することで、携行品数に柔軟性を付与するようになった。

これは管理することが難しく、使用期限のある医療資材を効率的に整備すると共に教育が不十分な兵士が誤用するケースを防ぐ目的もあるという。IFAK IIは、従来のIFAKのアイテムと教育を受け継いで発展させたものである。IFAK IIの構成品は12品に過ぎないという認識は正しくなく、その基準アイテムが今は12個なのだから、それ以外は持つことはないと解釈するのは、その変化の本質と実態を見抜けていない。

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