7月16日、いわゆる「安全保障関連法案」(一定の条件下での、集団的自衛権の行使容認などが主な趣旨)が衆議院を通過しました。今回の安倍政権の一連の対応を見ると、安倍晋三首相がいかに、アメリカを意識しているかがわかります。具体的に言えば、安倍首相が意識しているのは「第3次アーミテージ・ナイレポート」ではないかと思うのです。
日本は『一流国』であり続けるのか、否か
2012年8月、アメリカのリチャード・アーミテージ元国務副長官とジョセフ・ナイ元国務次官補(ハーバード大学ケネディ政治学大学院元学長ジ)が連名で、「The U.S-Japan Alliance ANCHORING STABILITY IN ASIA(アジアの安定のための日米同盟)」という報告書を発表しました。2000年、2007年に発表された二度のレポートに続くもので、「第3次アーミテージ・ナイレポート」と呼ばれています。以下、私の解釈を交えながら紹介したいと思います。
このレポートでは、「日本は今後も、世界の中で『一流国』であり続けたいのか、それとも『二流国』に甘んじるのか」と問いかけ、「一流国であり続けたいなら、国際社会で一定の役割を果たすべきである」としています。
そのうえで、専守防衛などのいわゆる「時代遅れの抑制」を解消し、アメリカの防衛戦略にこれまで以上に強く関与すること、そしてアジア太平洋地域の海洋安全保障においてアメリカが果たしている役割を補完して、米中の戦略的均衡の要になることを、日本に強く求めているのです。
アーミテージとナイはこのレポートで、アメリカ側が日本に期待する役割として、次のような具体例を挙げています。
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