自衛隊は、やはり「隊員の命」を軽視している

戦闘を想定した準備はできていない<上>

海外派兵が現実のものになりつつあるが、陸上自衛隊は戦争を想定した訓練ができていない(写真:akiyoko / PIXTA)
陸上自衛隊は実際の戦闘による被害を想定していない。筆者はそれの端的な例として個人用のファースト・エイド・キット、「個人携行救急品」の不備を挙げて、東洋経済オンライン上で検証を続けてきた。
陸自の「個人携行救急品」は諸外国のそれに比べて劣っている。これには国内用と国外用(PKO用)があり、特に国内用は包帯と止血帯しか入っていない。これは現代の軍隊ではありえないお粗末さだ。そのことを訴えるために寄稿した「戦傷者は『想定外』という、自衛隊の平和ボケ」「自衛官の『命の値段』は、米軍用犬以下なのか」「自衛隊員の命は、ここまで軽視されている」「自衛官を国際貢献で犬死にさせていいのか」は大きな反響を得た。
だが、その後、防衛省、陸上自衛隊幕僚監部などからの反論もあった。そこで、この問題について陸幕広報室への取材をもとに再検証する。今回はその前編。

陸幕広報室取材までの経緯とは?

筆者は昨年雑誌の記事を書くために、このファースト・エイド・キットの取材で陸幕広報室へ取材をお願いしたが、「直接取材はできない。質問を書面で行い、それに書面で答える」と言われた。締め切りもあったのでこの条件を呑んだが、誰がどのような理由で取材を受けられないのか尋ねた。ところが3カ月以上に渡ってメールやファックス、電話でも無視・黙殺された。これは担当者個人の対応ではなく組織としての対応だった。

筆者は「これはおかしいのではないか」と、防衛省の防衛相及び陸上幕僚長会見でそれぞれ中谷元防衛相、岩田清文陸幕長に質問し、その後6月17日に陸幕衛生部への取材が実現した。

当初の陸幕の言い分は、文書のやり取にしたのは正確を期すためであり、筆者の取材拒否の理由を尋ねた質問は新しい取材の依頼であり、取材依頼の体裁を取っていなかった(から無視した)だった。その後の理由は、該当部署が多忙だったに変わったりしたが、いずれにしてもそうであれば当初の取材依頼の時に言えばいい話ではないか。何カ月も黙殺するのは広報以前に、組織、社会人としての常識を疑われる。それを異常と思わないのは問題ではないか。常識的に考えれば、何か取材に応じたくない「大人の理由」が衛生部ないし、広報室など陸幕側にあるのではないか、と勘繰られてもしかたあるまい。

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