安保関連法案は、結局のところ違憲?合憲?

小林節氏(違憲)、長尾一紘氏(合憲)に聞く

戦後最長となる国会の95日間の延長により、与党は今国会中に、自衛隊海外派遣への道を開く安保法案の成立を目指す(写真:akiyoko/PIXTA)
衆議院憲法審査会では、安保法案について、参考人全員が「違憲」と批判。そのうちの1人である小林節氏と、「合憲」と認め政府が推す長尾一紘氏に、見解を聞いた。

──安全保障関連法案に含まれる、集団的自衛権の行使が違憲であるとの論拠は。

1928年のパリ不戦条約以来、独立主権国家には、自然権(条文の不要な本来保有している権利)としての自衛権が認められている。国連憲章に明記されているが、その自衛権には個別的自衛権と集団的自衛権がある。国際法上、集団的自衛権が認められていることは否定しない。

「自衛隊は第2警察で交戦権はない」

小林節・慶応義塾大学名誉教授(撮影:風間仁一朗)

しかし日本国憲法下では、自衛隊が他国の防衛のために海外に出ていくことはできない。憲法9条2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」とある。

だから、自衛隊は軍隊ではなく、警察予備隊として発足した。自衛隊はわが国の領土内で、警察や海上保安庁で対応できないほどの力が襲ってきた場合に備えるための組織であり、法的には第2警察という位置づけだ。

警察と軍隊の違いは何か。軍隊は戦争に勝つことが最優先で、大量破壊、大量殺人など通常では犯罪とされる行為が許容される。戦場で強盗などを犯すと、軍法会議という特別な法廷が開かれるが、憲法は76条2項で軍法会議を禁止している。軍法会議のない自衛隊は軍隊とはいえず、警察で交戦権もない以上は「専守防衛」に限定されると考えることは、極めて自然だ。

──政府は砂川事件の最高裁判所判決(1959年)を根拠に、集団的自衛権を合憲と主張している。

砂川事件では、日本の個別的自衛権と米国の集団的自衛権の行使により、米軍が日本に駐留することの合憲性が問われた。が、日本の集団的自衛権については、まったく問われていない。そもそも当時は日本の自衛隊が海外に出ていくなどという事態は想定されていなかった。だから、政府の解釈は“珍妙”だ。

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