安保関連法案は、結局のところ違憲?合憲? 小林節氏(違憲)、長尾一紘氏(合憲)に聞く
──集団的自衛権の行使を合憲と考える理由は。
自衛権は独立国の固有の権利として認められ、国連憲章にも明記されている。個別的自衛権と集団的自衛権は一体のものであり、コインの表裏の関係にある。個別的自衛権のみを認め、集団的自衛権の行使を否定するのは、日本だけに見られる現象だ。
なぜ世界では、集団的自衛権が当然の権利として、認められるのか。それは、世界のほとんどの国々が、単独では自国の安全を守れないからだ。集団的自衛権は、同盟を結んで外敵に対抗するという、共同防衛権だ。
憲法の前文は「自国の主権を維持し他国と対等関係に立とうとする」ことを責務としている。これは日本が“普通の国"であることを示す。もし、集団的自衛権を行使できないというのであれば、世界で日本だけが”異質な国?であるということになる。
しばしば「日本の常識は世界の非常識」「世界の常識は日本の非常識」といわれるが、集団的自衛権についてこの言葉はぴったり当てはまる。
「憲法は集団的自衛権を否定していない」
──砂川判決(1959年)では、日本は個別的自衛権のみ認められた、という見方がある。
判決では「わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく」とある。ここでは自衛権を個別的か集団的かで切り分けて考えてはいない。自衛権を認めるということは、集団的自衛権をも認めることを意味する。この判決は日本国憲法が集団的自衛権を否定するものではないことを示している。
また現行の日米安全保障条約には、「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し」とある。
安保条約は相互防衛の関係でありながら、日本は米国のために動かない。これでいざというときに米国が日本を守ってくれるだろうか。米国が日本を助けない口実を与えることにならないか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら