大企業は自社の一般職員からくじ引き制で人を選んで、影の取締役会を組織することができる。大きな決定を下す必要が出てくるたびに、その影の取締役会が自らの見解を示す。
そうすれば少なくとも、一般職員からは掛け離れて、実状を知らない取締役たちも、下からの見方に取り組まざるをえなくなる。
四半期利益を追求する果てしない競争にはまり込んで視野が狭くなっている取締役会とは無関係の影の取締役会は、無視されてばかりいる大局的な問題に上層部の目を向けさせ、壊滅的な失敗を避けるのを助けることができる。
警察署のような公的機関の場合には、違法行為を調べる民間人の審査委員会は、機関の運営に影響を及ぼす主要な決定に介入する、市民から成る影の委員会によって補足することができるはずだ。
影の取締役会や委員会は、間違っていることもあるだろう。だが、権力を握っている人々が、彼らの決定に左右される人々からランダムに選んだ集団の見解を、ときおり注意深く検討せざるをえないというのは、健全なことだ。
「くじ引き制による監督」の長所
くじ引き制による監督には、いくつか長所がある。第1に、ランダムであるため、市民議会や影の取締役会での地位を、腐敗しやすい人が求めるという問題を免れることができる。
市民議会や影の取締役会に選ばれる人の多くは、むしろ、渋々参加するはずであり、それは歓迎するべき変化となるだろう。
第2に、指導者が不道徳な振る舞いや利己的な振る舞いをしているときには、多くの場合、それが明白になる。その行動は、市民議会や影の取締役会の助言とは見紛いようのないほど掛け離れているからだ。
くじ引き制で選ばれた人々は、ロビイストを怒らせないように、あるいは、限られた利益団体の不興を買うのを心配して、決定を下しているわけではないことを、一般大衆は確信できる。
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