ペイパルは"現金大国"日本をどう攻略するか イーベイから分離し上場、独立系として本格展開

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――アップルペイとペイパルのプラットフォームは競合しないのか。

競合する部分もあれば、パートナーとして協働する部分もある。たとえば、Visaとの関係でいうと、商品のサイトでは消費者は決済の手段としてVisaかペイパルのどちらかを選ぶことになる。その一方で、当社が提供するデジタルウォレットは、Visaにとって最大の顧客でもある。

決済の革新がもたらす日本市場の変化

――日本市場をどのように見ているか。

日本には、決済の革新によって3つの大きな変革がもたらされるだろう。第1にベンチャー企業の台頭、第2に2020年の東京オリンピックに向けての小売業での新たなショッピング体験の実現、そして第3に訪日観光客に向けてのEコマースの整備だ。その変革をリードするのがモバイルやデジタルウォレットであり、それらが消費者と企業との間でのおカネのやりとりを本質から変えることになる。今後3~5年において、金融界では過去20~30年間よりも大きな変化が起きると見ている。

――ペイパルは、中小事業者向けの小口融資サービスや個人間送金など、革新的なサービスの提供を米国などで始めている。これらを日本に導入する考えは。

時期については明言できないが、2~3年のうちに(社内でも市場投入について)重要視されるだろう。現金決済のウエイトが高い日本で、現在、力を入れているのは、当社のデジタルウォレットを普及させることや、オンライン決済が安全だと認識していただくこと。そして中小企業に広く、当社のサービスを使っていただくことだ。そうなれば、当社が持つ最先端のサービスへのニーズもおのずと高まっていくだろう。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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