働き盛りの男性が陥る"かくあるべし思考"の弊害 周りにも義務感を押し付けて縛ることが多い

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でも、それによって子どもが勉強が嫌いになったり苦手になったり、自分は頭が悪いと思い込んでしまったりすれば、志望校合格といった本来の目的が遠のいてしまうわけです。

また仮に志望校に合格したとしても、その受験によって子どもが燃え尽き症候群になって勉強する意欲を失えば、その後は中学や高校で落ちこぼれてしまったり、大事な大学受験で失敗したりすることもあります。

これでは本末転倒です。大学合格という本来の目的を叶えたいのであれば、中学受験だけが戦術ではありません。中学受験はせずに小学校高学年から英語に力を入れておく道もあるし、中学での数学を先取りしておいて高校受験に力を入れるという道もあります。

受験をするのであれば、もちろん結果は出したほうがいいけれども、名門中学に入れなかったら人生が終わるなどということはありませんし、たとえ名門中学に合格しなかったとしても、大学受験で志望校に受かればいいわけです。

要は、別のやり方で勝てる方法を見つければいいということです。

目的や本質を見失わないことが大事

このように、「かくあるべし」「〜すべき」にこだわりすぎていると、本来の目的よりプロセスや過程に目を奪われてしまうことがあります。

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組織で働くときにも、社内ルールや形式、上司の評価や機嫌などに縛られすぎて、本来の目的が見えなくなってしまうことがあります。

「かくあるべし思考」にとらわれていると手段と目的が混同してしまうことがあるのです。

40代、50代のベテランこそ、組織に潜む「かくあるべし」から脱却して、目的や本質を見失わないことが大事です。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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