東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場

「断捨離」をした日銀は7月末にどう動くのか 渡辺努・東大教授の「物価理論」を解説しよう

14分で読める
  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
2/6 PAGES
3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

競馬である。

7月8~9日は、いまや世界の競馬界で最も大事なイベントが行われた。それは、北海道・苫小牧のノーザンホースパークで行われたサラブレット1歳馬、当歳馬(2024年生まれ)の競り市、「セレクトセール」である。
2日間の売上総額は289億1800万円(税抜)で過去最高となった。種牡馬別ではキタサンブラックとエピファネイアの産駒が人気を集めた。一方、新種牡馬では、コントレイルの産駒は13頭が1億円以上、6戦6勝のまま引退したアメリカのフライトライン(Flightline)の産駒は3頭中2頭が2億円以上となった、というような報道がなされているが、実は、こういうことは重要ではない。少なくとも筆者はまったく興味がない。

「デルフィニアIIの2023」はジンクスを破れるか

筆者が毎年注目しているのは、日本最大、いや世界最大、最高の生産者(グループ)、ノーザンファームと社台ファームが、どのような繁殖牝馬、つまり母親を海外から輸入しているのか、という点である。

良くも悪くも、日本の競馬界は社台グループに支えられている。あるいは、日本競馬は、ほぼ社台グループのものだ、と言ってもいいだろう。この一極集中は危険であることは、再三この連載でも言及しているし、サラブレッド血統研究の大家、吉沢譲治氏も世界の血統の歴史を分析する中で述べている。

しかし、現状はとことん一極集中しているし、そのことは社台グループ自身がよくわかっており、血統の偏りを避けるために、世界中からさまざまな血を輸入している。そして、その多様化のためにもっとも重要なのは、マイナーな地域の繁殖牝馬なのである。

例えば、ドイツは、常にドイツ流の馬を育てており、また自国の血脈を非常に大事にしてきた。流行にとらわれない重厚な血統の繁殖牝馬が、日本の軽快な種牡馬たちを補ってきた。日本の大物の血統表にドイツ血脈が頻繁にみられるのは良く知られているところである。アルゼンチンも貴重だ。

だから、社台グループがどのような問題意識を持ち(現在の日本に足りない血はどのようなものか)、新しい繁殖牝馬を輸入しているのか、それらの子供がどのような馬体で、どのような価格が付くのか、私はそれに毎年、注目しているのである。

実は、2022年にシルク・ホースクラブで1歳馬として募集され、喉から手が出るほど出資したかった「デルフィニアII(アイルランド産、父ガリレオ、コテコテの欧州重厚血統だ)の2021」(2021年生まれのデルフォニアⅡの仔という意味。現在はベストミーエヴァーという現役3歳牝馬である)という馬がいたのだが、今年はその弟である「デルフィニアIIの2023」(姉弟ともにノーザンファーム生産)がセレクトセールに出るというので、筆者はいちばん注目していた。

すると、なんと、彼は今年の最高額どころか、1歳馬の歴代最高額(税込み6億4900万円)で落札された(落札者:ロデオジャパン)。「高額落札馬は走らない」、というジンクスを、彼は乗り越えられるだろうか。今後も注目していきたい。

※ 次回の筆者はかんべえ(吉崎達彦)さんで、掲載は7月20日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象