「断捨離」をした日銀は7月末にどう動くのか 渡辺努・東大教授の「物価理論」を解説しよう

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しかし、渡辺教授は、何とか価格メカニズム復活のために、現状の委縮均衡の完全なる破壊に執念を燃やしている、あるいは、今が、最後の最大のチャンスだと思っているようだ。

「今は同調だろうがなんだろうが、価格が動いてくれればもうけもの。スーパーなどの販売価格をPOSデータでみても、これまで価格が動かない商品の割合が7割だったのが減ってきています。顕著に減ってきています。価格も賃金も動かない状態からとにかく脱出する。そうなりつつあるから、しっかり固めるときだと思います」。

日銀は「断捨離後」の「次の一手」をどうするのか?

6については、結果的には意見は一致した。異次元緩和、「黒田緩和」が始まったときは、渡辺教授は、こう思っていた。

「実は、2013年に異次元緩和を始めた黒田東彦前総裁も(デフレが何らかの弊害をもたらしたか否か、という論点を)説明したことがないんですよ。僕はこう解釈しました。消費者や価格をつける企業の人たちのマインドを『価格というのは上がるもの』に変えようとしているんだと」。

そして、今の渡辺教授の見解は、こうだ。
「(異次元緩和は)事実として全然うまくいかなかったから、失敗したとは思います。2016年1月に導入したマイナス金利の評判が悪かった頃からそう思い始めました。効いてほしかったですが、結果的に効かなかったのだから、明らかに無用の長物です」。

しかし、今後については、私とは意見が異なるようだ。
「3月の日銀の決定は、要らないモノを捨てる『断捨離』なんだと説明しています。断捨離のポイントは、要るモノと要らないモノを区別することです。要るモノとして残したのが、バランスシートです。バランスシートが大きい状態はやっぱり望ましいんですよ」。

さあ、7月30~31日の金融政策決定会合で、植田和男・日銀総裁は、どの程度国債買い入れを減らすのか。そして、それはバランスシートのサイズを意識したものになるのか、それとも、毎月の購入額というフローの額を重要視するのか。注目だ。

今後も、渡辺理論の発展を願うし、再び、議論の機会を持てるのを楽しみにしている(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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