株価がここにきて大きく上昇している背景事情 東証市場改革は日本企業を変える大きなキッカケ

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TOPIXに組み入れられると、日本を代表する企業の1つと東証から認められることなので、企業にとってステータスになります。企業経営者はTOPIXに選ばれることが1つの経営目標となります。こうした企業は、企業価値を高めて、投資家から評価され株価や時価総額が大きくなり、市場での売買も活発になることが期待されます。

市場改革で注目される3つ目

このように東証の市場改革の大きな目的は経営者に企業価値を高める努力を促すことです。そして市場改革で注目される3つ目は、2023年3月に東証が公表したプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象とした「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」になります。

内容の詳細については『「PBR1倍割れ」でも稼げる企業を探す簡単な方法』で解説したので、そちらを読んでほしいのですが、企業に対して収益性を高めて企業の価値を向上させ株高を目指す取り組みを投資家に向けて「開示」してほしいというものです。

東証からは今年の1月15日から実際に開示を始めた企業を調べてそのリストを公表しました。リストは毎月15日をメドに開示企業を追加して、東証のウェブサイトを通じて発表されています。

このように実際の取り組みを投資家向けに開示した企業の株価パフォーマンスはよいのでしょうか。最初にリストが発表された1月から半年程度が経過したので、プライム上場企業を対象に1月15日公表時点のリストでプライム企業の開示企業と非開示企業の株価パフォーマンスの平均推移を調べてみました。

青線のグラフは開示企業の累積株価パフォーマンスです。直近の7月5日にかけて緩やかに上昇しており、赤線の非開示企業と比べても上昇が大きくなっています。これは、取り組みを投資家向けに開示した企業の株価パフォーマンスが非開示企業を上回っていることを示しています。開示することは、企業が株主のために株価を意識した経営をしていることの表れで、それが株価のパフォーマンスに表れたと考えられます。

投資の候補となる銘柄を探す際に、開示しているかを東証のウェブサイトでチェックすることは効果的な株式投資をするうえで重要になるでしょう。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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