2年半で強制退場、東証「上場廃止予備軍」の焦燥 独自調査の「プライム不適合」企業ランキングも

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2023年に入り、東京証券取引所は再び市場制度改革に動き出している
東京証券取引所に「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場が誕生したのは2022年4月のこと。企業価値を向上させ、日本株の再評価につながると期待されたが、ふたを開ければ旧東証一部に上場する企業の8割以上がプライム市場に横滑りするなど「骨抜きの改革」ともやゆされた。
だが2023年に入り、東証は再び市場制度改革に動き出している。各市場に設けられた時価総額や流動性などの上場維持基準に適合しない場合、「最短で2026年にも強制的に上場廃止にする」と宣言したのだ。
慌てた企業は時価総額向上に向けて重い腰を上げたが、残された時間は少ない。「東洋経済オンライン」では連載「東証の審判」を有料会員限定で配信。市場制度改革の波紋を探るとともに、独自調査で明らかになった「上場廃止予備軍」をあぶり出している。

東証は10月2日、2023年4~9月の半年間で、プライム市場上場企業のうち177社がスタンダード市場への移行を申請したと発表した。2022年4月のプライム市場発足時には同市場に1839社が上場していたが、今回、単純計算でその約1割が姿を消すことになる。

第1回:【半年で177社退場!東証プライム「荒療治」の余波】はこちら

10月以降は、プライム市場の上場維持基準を満たせない企業への風当たりが強くなりそう。3月期決算企業であれば、早ければ2026年にも強制的に上場廃止となるためだ。東洋経済では『会社四季報』や大株主データ、『役員四季報』などの調査を基に、基準に抵触している企業を独自に抽出した。

第2回:【独自算出、東証プライム「不適合」企業ランキング】はこちら

一方、スタンダード市場に属する企業も「上場廃止ラッシュ」の危機に瀕している。旧東証二部やジャスダックのほか、東証一部からも企業が合流し、当初の上場社数は1466社を数えたが、相当数の企業が「上場維持基準」に適合していなかった。

第3回:【スタンダード市場に「上場廃止ラッシュ」の足音】はこちら

具体的には流通株式比率で41社、流通株式時価総額で99社が基準に適合していないことがわかった。スタンダード市場に上場する企業は10月6日時点で1444社。両方の基準に抵触している企業が存在していることを考慮すると、1割弱の企業が上場廃止の瀬戸際にいる計算になる。

第4回:【東証スタンダード「上場廃止予備軍」140社の実名】はこちら

上場維持基準に抵触した企業には、業績が停滞し株価も振るわない銘柄が目立つ。株式上場のコストと手間を考慮し、自ら非公開化や上場廃止を選ぶ企業も、今後現れそうだ。

(取材・執筆:一井 純)

東洋経済編集部

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『週刊東洋経済』や「東洋経済オンライン」会員限定の特集・記事の編集を担当。

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