
「このままでは上場廃止になってしまう」。東京証券取引所のスタンダード市場に上場する、都内に本社を構える企業のCFO(最高財務責任者)は悩んでいた。
本業では安定して黒字を確保できている。問題は「時価総額」だ。株式の過半をオーナーが握っているため、流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を割り込んでいたのだ。
良い決算を発表しても、株主還元を行っても、流動性が乏しい小型株ゆえ株価が思うように反応しない。基準に適合しない状態が続けば、いずれ上場廃止に追い込まれる。
転機は2023年。知人からこんな連絡を受けた。「会社が上場廃止になりそうだと聞いた。紹介したい人がいる」。そうして知人が引き合わせたのは、名古屋証券取引所の担当者だった。「(名証なら)上場できますよ、と提案を受けた。重複上場するかどうか、オーナーも交えて検討している」。CFOはそう話す。
名証への上場ラッシュ
今、東証の上場維持基準に適合していない企業が、名証に続々と上場している。東洋経済が2023年から今年5月2日までに名証に上場した40社を調べたところ、21社は何らかの基準に抵触していた。
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