うどんと天ぷら、そこに今までに見たことがないほどちょっぴりなソフトクリームと、アツアツのホットコーヒー。この組み合わせを実現できるのもフードコートならではといえる。
変則ながら、溶けると困るソフトクリームから食べる。じめじめした天気で体の中にたまった熱気を、いい具合にほぐして溶かしてくれる。あっという間になくなった。その後も、うどんの合間にちくわとかしわを挟みながら、ササっと完食した。
「ササっと」というのも、このフードコート、席が60分制であったり、食事以外の利用は禁止だったりど、何かと厳しく長居は禁物と判断した格好だ。
ダラダラ長居できることは、フードコートの魅力のひとつであり、時には女子高生が集うカフェにも、高齢者の集会所にも変身する柔軟さが魅力だが、時間制限があったり、清掃の方々が「お食事はお済みですか?」と暗に注意して回っている場合は別である。
場内アナウンスでもしきりに「現在混雑しています」といった内容が響いている。キャパシティの小ささを回転率で補っている、といったところか。「ゴファン」という名の通り、食事を終えたら大人しく球場へと「ゴー、ファン」である。ここは、楽しむ前の腹ごしらえの場所なのだ。
雨の中、あえて展望ラウンジへ
これまで書いてきたように、東京ドームの周辺一帯は、家族や恋人と連れ立って行くのに適したエリアではある。だが、ひとりで楽しんだり、静かに過ごせる場所もある。
付近にはエンタメ施設以外にも小石川後楽園や小石川植物園、礫川公園といったのんびり過ごすのにうってつけの場所はそこそこある。
そんな中で私が選んだのは「文京シビックセンター」だ。文京区役所やホール、区民施設からなる施設であり、水道橋駅から歩いて10分ほどの位置にある。
なぜそんな場所を、と思うかもしれないが、実はこの施設の上層階には展望ラウンジがあるのだ。高さは地上105メートルと、国内でぶっちぎりのコンクリートジャングルである東京都心を眺めるには少々心もとないのだが、何より無料。雨にけぶる都会を見下ろすというのも、悪くない。
正面玄関付近には文京区の歴史を記したプレートがある。これによると、文京区はもともと広大な武家屋敷があったとか。その跡地が明治時代になって教育施設に姿を変え、森鴎外に夏目漱石、樋口一葉や坪内逍遥といった錚々たる文人たちが住んでいた。
その後、1947年に旧小石川区と旧本郷区が合併して、文京区が誕生。その名の由来は、これまでの経緯から“文教の府”というイメージにちなんでいるという。
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