前回はアップルとソニーを比較したが、今回はグーグルとトヨタ自動車を比較しよう。
アップルとソニーは類似の製品を生産しているから比較はイメージしやすいが、グーグルとトヨタの事業はまったく異なる。だから、比較のしようもないと考えられるかもしれない。しかし、いずれも国を代表するエクセレントカンパニーだ。だから、両社の比較は、日本とアメリカの経済構造の比較とも言えるのである。それゆえ、この比較は、前回述べたことよりも根源的である。
まず何よりも、利益の源泉が異なる。トヨタの強さは技術力と言われるが、基本的には確立された技術の改善であり、現場における効率化だ。さらに言えば、「ジャストインタイム・システム」に見られる系列メーカーの効率強化である。
グーグルは、これまで存在しなかったサービスとビジネスモデルによって利益を挙げている。20年前には、こうした企業がありうることすら、誰も想像できなかった。
トヨタでは、30万人を超える組織内メンバーの協調が重要だ。系列会社との間にも緊密な関係が求められる。その目的は、「カイゼン」という言葉に代表される。独創よりは、地道で堅実な活動が求められる。
グーグルが必要とするのは、組織力ではなく独創的な個人のアイディアだ。創業の経緯を見ても、技術が先行し、利益もないまま発足した。巨額の利益を挙げられるようになったのは、「検索連動広告」というビジネスモデルを確立したからだ(ただし、これはグーグルが開発したものではない)。従業員は3万人に満たない。