【産業天気図・精密機器】一眼レフは活況もコンデジの値崩れ厳しい。企業業績は明暗分かれる
一方で、コンパクトを展開するカシオ計算機はカメラ事業の赤字が残る公算。オリンパスも高級機種の拡充で、カメラ事業の水面下脱出を描く(同事業は前11年3月期150億円の赤字)が、採算性を大きく改善することは難しいだろう。厳しい状況を受け、HOYAは今10月、「ペンタックス」ブランドで展開するデジカメ事業をリコーに売却する。こういったカメラ再編の動きは、今後加速する可能性がある。
急激な円高進行も、輸出比率が高い精密業界全体への逆風となる。キヤノンは今下期において、1ドル80円、1ユーロ115円を想定。1円円高で対ドル48億円、対ユーロ30億円の減益要因(下期のみの影響額)。富士フイルムホールディングスも1ドル80円、1ユーロ116円を想定。1円円高で対ドル11億円、対ユーロ7億円の減益要因(通期影響額)となる。
事務機大手のリコーは複合機の販売が伸び悩んでいることに加え、円高影響をモロに受けることで、今12年3月期について売上高2兆100億円(前年比3.5%増)、営業利益540億円(同10.3%減)になると、当初計画を下方修正した。同社は1ドル80円、1ユーロ110円を想定。1円円高で対ドル13億円、対ユーロ15億円の減益要因(通期影響額)となる。
強み分野の違いによって各社の業績は明暗が分かれそうだ。製品別の市場動向を考慮すると、この傾向は当面続くかもしれない。
(梅咲 恵司=東洋経済オンライン)
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