【産業天気図・精密機器】一眼レフは活況もコンデジの値崩れ厳しい。企業業績は明暗分かれる
11年10月~12年3月 | 12年4月~12年9月 |
精密機器業界の景況感は、2012年9月まで終始「曇り」にとどまる冴えない景況感だ。デジタル一眼レフカメラは旺盛なアジア需要を背景に、活況を呈する見込み。一方、コンパクトデジカメは厳しい価格競争が続く。複合機などの事務機器も、オフィス需要が下向く公算だ。
カメラ映像機器工業会によると、デジタルカメラの2011年総出荷台数は1億3千100万台(前年比107.8%増)と、前年実績を上回り過去最高を記録する見通し。牽引するのは一眼レフだ。中国やインドネシアなど東南アジアで中間所得者層が増えており、こういった層が最初に手にする贅沢品として、一眼レフのニーズが高まっているようだ。
11年3月~5月は震災に伴う部品調達不足を理由に、各社の生産が滞った。だが、その後、調達網が急回復し、6月頃からフル生産に突入。供給体制が整ったことで、一眼レフの販売は11年後半から12年前半にかけて、一気に巻き返しそうだ。
反面、コンパクトは台数が伸びても、競争激化が逆風となり、年間10~20%程度の価格下落を強いられる。コンパクトを手がける各メーカーは高級機種の投入などで単価アップを狙うが、これは容易ではなく、値崩れに苦しむ展開となるだろう。また、複合機を軸とする事務機器は、日米欧中心に市場の鈍化が顕著だ。企業のコスト意識の高まりやクラウドコンピューティングの浸透により、ハードの販売は当面ダウントレンドを描くと見てよい。
この環境下、一眼レフ「2強」のキヤノンとニコンは、業績が好調に推移。キヤノンは今11年12月について売上高3兆7800億円(前期比2%増)、営業利益3800億円(同2%減)に、ニコンも今12年3月期について売上高9900億円(前期比11.5%増)、 営業利益860億円(59.1%増)になると、当初計画からそれぞれ上方修正した。一眼レフ販売の見通しが、大きく上ぶれしたためだ。