NHKが34年ぶりの「赤字」でも止まらない肥大化 総資産の6割超を現預金と有価証券が占めている
職員の給与水準の高さはしばしば問題視されるが、人件費は約50億円、率でいうと4%ほど減っているので、結果、経費は横ばいということのようだ。
ただ、今回の赤字、その中身をよく見てみる必要がある。
当期事業収支差金が78億円の赤字だが、事業キャッシュフロー(CF)は696億円のプラス。損益上は赤字なのに、現金ベースでは700億円近い利益を稼いでいる。なぜそんなに開きがあるのかというと、経費のうち約732億円が減価償却費、つまり出金を伴わない経費だからだ。
総資産の6割超が現預金と有価証券
前期までは、この現金ベースの利益が毎年1000億円を超えていた。この潤沢なキャッシュは渋谷の放送センターの建て替えなど固定資産取得に700億~800億円前後使ってもなお使いきれず、残りは有価証券投資に回されてきた。
2024年3月期も固定資産取得に660億円を使ってもなお、手持ちのキャッシュを前期末比166億円増やしている。
その結果がファンドと見紛うばかりのバランスシートである。2024年3月末時点でNHKの連結総資産は1兆2295億円。このうち金融資産(有価証券+現預金)が8940億円と、全体の61%を占める。
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