「睡眠の質が悪い人」脳が発するSOSの2つの兆候 自称「ショートスリーパー」ほど注意が必要
しかし、元から日本人の睡眠時間が短かかったわけではありません。1960年の日本人の平均睡眠時間は8.22時間だったので、約50年間で1時間も短くなってしまったということになります。
深刻なデータですが、じつは現代の日本人には「眠れていない」ということを正しく自覚していない/または軽視してしまっている人も、意外に多いのです。
「自分はショートスリーパー」という思い込み
ここからは、「眠れているつもりで眠れていない」という、要注意サインをご紹介しましょう。
まず注意していただきたいのは、ベッドやソファにバタッと横になったとたん眠り込んでしまう、「バタンキュー」状態です。
消灯、または床についてから眠りに入るまでの時間を「入眠潜時(にゅうみんせんじ)」といいますが、この時間は10〜15分ほどかかるのが普通です。
しかし、入眠潜時があまりに短く「いつ寝たのかわからない」「気づいたら朝になっていた」というのは、睡眠というより気絶に近いといえます。寝つきがよいように思えるかもしれませんが、じつは睡眠負債をため込みすぎているせいで、脳がシャットダウンしているのです。
「すぐ寝られる」と「よく眠れている」は、決して同義ではありません。心当たりのある人は、早めに生活習慣を見直しましょう。
また、「机にいつも書類が山積みになっていて、なかなか片付けられない」という状態も、脳のSOSサインです。
これは、睡眠不足によって脳の処理能力が下がってしまい、要不要を判断したり、優先順位をつけたりできなくなっている証拠といえます。こうした状態を長く放置していると、いずれ大きなミスにもつながりかねません。
また、「他人のささいな言動にカチンときて激しく言い返す」というのも、じつは脳のSOSサインのひとつです。睡眠時間が足りないと、心のバランスを保つホルモンであるセロトニンが不足して、イライラしやすくなってしまうためです。
さらに、不安や恐怖を察知するセンサーである「扁桃体(へんとうたい)」の働きも活発になってくるので、他人の言動や行動に対して過剰に反応しやすくなります。
「上司から理不尽な指示を受けている」「長時間労働を強いられている」といった明確な理由がある場合でも、睡眠が不足しているとよけいにイライラが募ってしまうことがあります。
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