ウォルマート「バイ・アメリカン運動」の難題

「製造回帰キャンペーン」で起きていること

 ユタ州に拠点を置くエルク・マネージメントのジェフ・カールとシェリー・スレードは3m x 4mの狭い窓なしの部屋に集まった5人のウォルマートの重役たちと米国製の洋服の商品ラインの提案についてのタフな交渉を行った。エルクはウォルマート向けビジネスに対応するための新工場を建設する予定だったが、ウォルマートが現在販売してる1.68ドルのキャミソールには対抗できなかった。

ウォルマートの婦人向けアパレル・カテゴリーの担当ディレクター、ケリー・マリンズとデビッド・アダムスを含むウォルマートの重役は、「顧客は1.68ドルのキャミソールを期待しているものの、より良い品質の服にはもっと高い価格を支払うだろう」と応答した。

彼らはカールとスレードに対して、よりハイ・エンドを狙うようにアドバイスしたが、一方で警告もした。「商品で使用しているスパンデックスが本当に米国製かどうかダブル・チェックをする」と。

その後、彼らのスパンデックスは輸入されているものであることが判明したため、代替となる国内の調達先を見つけた。しかし、多くの事業者にとって、製造する商品の素材をすべて米国製にするのは大きな挑戦であると述べる。

米国での生産に戻すのは一苦労

ウォルマートの大手サプライヤーであるK’Nexブランドは、個性的な木製のアメリカ玩具「Lincoln Logs」を60年間中国で製造してきた。CEOのマイケル・アラテンは「当社は4年前に生産を米国に戻すことを決定し家具メーカーとテスト生産を実施した」と話す。しかし、米国メーカーは小さな丸木の量産に問題があった。

 最終的にゴルフのティーメーカーであるプライド・スポーツを見つけ、そこでは量産を行うことにした。K’Nexは最近、メイン州で競争力のあるコストで製造し始めている。

“Made in the USA”のウォルマートの基準を満たすことは1887年創業のファミリー企業であるデトロイト・クオリティー・ブラシーズにとっては課題であった。アブゴウスティスは「当社はスリランカからブラシ用の木材、スリランカまたはメキシコからブラシ用の毛を購入している」と言う。かつての米国のサプライヤーは、みな廃業となってしまったからだ。

ウォルマートのバイヤー、ウィリアム・ローンは、プラスチック・ブラシの見本を提案し直すように勧めた。

アブゴウスティスは競合のブラシ企業の動きが気になっている。ある競合は、安い海外生産の商品を止めて彼らの商品に切り替えてもらうために米国への工場新設を決めたのだ。しかしデトロイト・クオリティー・ブラシーズの米国国内の工場にまだ余っているスペースがあるため、大きな投資をしなくても”Made in the USA”と謳えるブラシを生産することは可能だろうアブゴウスティスは述べた。

「やってみる価値はありそうだ」と彼は言った。「仮に2年後にウォルマートが我々にサヨナラを言うのだとしても」。

(執筆:ニック・キャリー、編集:ジョセフ・ホワイト、スー・ホートン)

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