ウォルマート「バイ・アメリカン運動」の難題

「製造回帰キャンペーン」で起きていること

独立記念日には、ウォルマート店舗内に星条旗がはためく(写真:AP/アフロ)

[アーカンソー州・ベントンビル(ロイター)]- デトロイト・クオリティ・ブラシーズという会社がある。この会社は、その名前が示すとおりの事業を営んでいる。つまり、デトロイトにおいて高品質のブラシを製造しているのだ。

ブラシ製造業者は以前は数多くあった。合衆国内だけで18もの競合がひしめいていたが、現在はたった3社となっている。

同社でマーケティングとセールスの責任者を務めるジョン・アブゴウスティスは言う。「誰が、競合を廃業に追いやったのかといえば、ウォルマートだ」と彼は言う。

ウォルマートが米国製品の取り扱いを強化

7月6日、そのアブゴウスティスは、ウォルマートの小さな会議室にいた。この日、アメリカ製の商品をプレゼンするために米国中の製造企業から約2000人のエグゼクティブがウォルマート本社に出張しており、アブゴウスティスは、その中の一人だった。

ウォルマートが開催した「2015年米国製造サミット」は、メーカーが米国内で製造したものを小売のジャイアントに提案できる絶好のチャンスだと宣伝されていた。同時に、米国の製造業への支援策、低価格化一辺倒でドライブしてきたトレンドの転換について、ウォルマートのエグゼクティブからアドバイスを得ることを期待していた。

しかし、このイベントは米国への製造回帰を試みている企業が直面している困難さを強調することになった。安いエネルギーと中国の人件費の上昇は米国製造業の雇用安定に役立っているが、1990年当時と比較して工場で働く米国の労働者の数はおおよそ500万人も少ない。明らかに労働力不足なのだ。

サミットに参加したウォルマートのベンダーには難題があった。いわゆる”アメリカ製”の商品とは何なのか、だ。ウォルマートは、国内で最終組立てをしているだけではなく、部品から製造していることを立証することを求める。しかし、サミットに参加した数社は「輸入部品や資材に頼らざるを得ない」と説明する。かつて米国に存在していたサプライヤーが海外の競合商品の台頭により事業を畳むことになったからである。

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