ライオンズが整形外科クリニックを開院した事情 地域住民もビジターチームも利用できる

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クリニックの院長で、ライオンズのチームドクターの帝京大学医学部教授の増田裕也氏はこれまで整形外科の幅広い分野で研鑽を積んできたが、昨年からライオンズの選手を診るようになった。

増田裕也院長(写真:筆者撮影)

「一般の方と違って、アスリートはデマンド(要求)のレベルが高いのが特徴です。私は以前から大学のスポーツ選手は診ていたのですが、大学の場合、絶対勝たないといけない試合に向けて、故障した選手を治療して何とか試合に間に合わせる、みたいなケースが多かったのですが、プロ野球はかなり違います。

試合関連でのケガで一番多いのは肉離れ系ですが、復帰までどれくらいかかるかが大事で、10日間かかるよとなると、代わりの選手を上げなきゃいけなくなる。そうした判断を求められるのが大きな違いですね」

選手はケガや違和感の訴え方がうまい

「今回のクリニックを作るうえで要望したのは『動線を分ける』ことですね、選手が診察を待っている一般の患者さんと顔を合わせることなく、全部回れるようにしなければいけないと考えました。それからできるだけ良い機材をそろえるということです。これまでは診断のために遠くまで行って画像を撮るようなこともあったのですが、診断までならここで全部できるようにしようと思っています。

昨年、選手を診断して感じたのは、選手はケガや故障をした部位の傷み、違和感の訴え方がうまいということですね。一般患者なら、患部の痛みが取れたら、ああ、これでいいやと帰ることが多いんです。なかにはまた痛みを訴えてくる人がいるんですが、選手は、痛みがないだけでなく次の日に思い切りプレーできないといけない。ちょっと動いてもらうと、あ、こっちは良くなったけど、こっちに張りがでてきましたとか、細かな指摘が出てきます。またケガをしたときに選手のほうから『この前と同じ箇所をやった感じです』などと言ってくれます。選手たちは日々やはり必死ですから、フィードバックのレベルも違ってきます。

一般の患者さんと選手を両方診させてもらえるというのは、経験値を高めるうえですごいメリットがあると思います。若い医師が伸びる環境ができたのではないかと思いますね。

またリハビリテーションの部分では、PT(理学療法士)さんが常駐しています。PTさんも昨年からライオンズを担当していただいたので、お互いの情報交換をしています。医師に診せるまでではないけど、調子がよくない選手の予防的な処置をした、などの知見もさらに集まってくればよいと思います」

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