人間とコウモリ「意外な共通点」から覚える親近感 一見すると哺乳類とはかけ離れた印象を持つが

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サル目に共通する体の構造は、左右の目が顔の正面に位置していること、手足の指がそれぞれ5本あって親指との距離があること、脳がとても発達していることなどが挙げられる。目が顔の正面にあると身体の向きと連動して遠近感をとらえやすく、指を使ってモノをつかむときにも有利となる。さらに、3つの色を識別できる種も存在し、繁殖行動でも大いに活かされている。

そしてサル目のメスの子宮は「単一子宮」と呼ばれるタイプである。

受精卵(胚)の育つ「子宮」は、平滑筋と粘膜で構成され、哺乳類(カンガルーなどの有袋類を含む)の子宮は、構造や形態の違いによって次の5つに大別される。

子宮
(イラスト:芦野公平)
1 単一子宮(霊長類、翼手類など)
2 双角子宮(有蹄類、食肉類、小型反芻類、鰭脚類など)
3 両分子宮(鯨類、大型反芻類など)
4 重複子宮(齧歯類、ウサギ、ゾウ、アリクイなど)
5 重複子宮で重複膣をもつ(有袋類など)

サル目がもつ単一子宮は、図のように胎児の成長する場所は1カ所で、他の動物のように子宮角や子宮体といった区別がない最も単純な構造である。一度の出産で1頭の子どもを産む動物に多い。

もちろん、必ずしも1頭しか生まないというわけではなく、人間も然りだが、双子やそれ以上の複数頭が生まれることもある。

空を飛ぶ哺乳類「コウモリ」

同じ単一子宮をもつ動物として、コウモリが挙げられる。コウモリは自由自在に空を飛ぶことから、海に生きる哺乳類同様、一見して哺乳類とはかけ離れた印象をもつ。

コウモリは鳥のように羽毛で構成された翼をもつわけではなく、前足に皮膚を変化させた「皮膜(飛膜)」を張り巡らして飛ぶことを可能にした。子宮をもつという特徴からしても、れっきとした哺乳類であり、正確には「哺乳綱翼手目」に分類される。

ちなみに、同じ哺乳類のムササビやモモンガにもこの皮膜(飛膜)があるが、こちらは自ら飛翔するのではなく、風の抵抗を利用して滑空する。

日本に生息するコウモリは約35種が知られており、超音波を利用したエコロケーション(反響定位)を使って周囲の状況を把握し、エサを探す。夕方になると、公園や軒下を盛んに飛び回る黒い物体を目撃したことのある方も少なくないであろう。

幼い頃、初めてその光景を見た私はひどく怯えた。飛ぶといえば鳥の特権であり、鳥は多くの童謡で歌われているように、日暮れになると山や巣に帰る。それは暗くなると目が見えにくくなるから、というのが幼い頃の私の知識であった。

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