英国女性に最も多い「法律違反」の意外な中身 大半が女性、10万人弱の女性が起訴された年も

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先進国の7か国を対象としたある調査によれば、女性が家庭で自由に使える資産は、平均すると世帯全体の資産の3分の1に満たなかったという。イタリアの女性の半分は、自分自身の収入がまったくなく、政府の給付金さえ受け取っていなかった。フランス、ドイツ、イギリスでは、女性の4分の1以上が政府の給付金以外に収入がなかった[14]。これらの世帯は、調査報告上では中流階級か富裕層だとみなされるかもしれない。しかし男性がいなくなり収入のすべてをもっていかれたとすると、多くの場合、女性は生計を立てていくためのお金がほとんどなくなってしまうだろう。

多くの女性が経済面で男性に依存

女性はなぜ男性より貧しいのか?
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統計学者がつねに、この「財務報告者は一人」という手法を使っているわけではなく、長期にわたる世帯資産調査では、婚姻関係にある成人の双方に収入を尋ねるケースもある。とはいえ、21世紀になっても、イギリスでもほかの先進国でも、多くの女性が経済面で男性に依存しているという事実は変わらない。

女性が家族の世話や家事のために有給の仕事を離れた場合、実際にはパートナーが財産を築けるよう援助していることになる。そうした女性の働きが、その男性が現在と将来にわたって収入を得る能力、貯蓄する能力、そして信用力や年金貯蓄の助けになっている。

しかし、こうした状況にある女性は個人としては貧困ということになるので、女性がおかれている不平等を正確にはかるには、このような立場の女性を「貧困」と区分すべきだと指摘されている[15]。

原注
[1] HM Revenue and Customs, ‘Identied Personal Wealth: Assets by Age and Gender’, National Statistics report, 2016
[2] 2007年のデータ。以下による。Mariko Lin Chang, ‘Women and Wealth in the United States’, Sociologists for Women in Societywebsite
[3] Ministry of Justice, ‘Statistics on Women and the Criminal JusticeSystem 2017’, National Statistics report, 2017
[4] ‘Gender Disparity Report: TV Licensing’, TV Licensing and BBCreport, December 2017
[5] Office of the High Commissioner for Human Rights, ‘Report on Austerity Measures and Economic and Social Rights’, United NationsHigh Commissioner for Human Rights report, 2013, www.ohchr.org/Documents/Issues/Development/RightsCrisis/E-2013-82_en.pdf (2020年2月10日アクセス).
[6] International Institute for Labour Studies, ‘World of Work Report2012: Better Jobs for a Better Economy’, International Labour Organization report, 2012, www.ilo.org/global/research/global-reports/world-of-work/WCMS_179453/lang--en/index.htm(2020年2月10日アクセス).
[7] ‘Gender at Work: Emerging Messages’, World Bank Group report, 
[8] Mizuho Aoki, ‘Poverty a Growing Problem for Women’, Japan Times, 19 April 2012, www.japantimes.co.jp/news/2012/04/19/national/poverty-a-growing-problem-for-women.
[9] Kayla Fontenot, Jessica Semega and Melissa Kollar, ‘Income and Poverty in the United States: 2017’, United States Census Bureau report, 12 September 2018, www.census.gov/library/publications/2018/demo/p60-263.html.
[10] Social Metrics Commission, Measuring Poverty 2019 report, July2019, https://socialmetricscommission.org.uk/wp-content/uploads/2019/07/SMC_measuring-poverty-201908_full-report.pdf(2020年11月28日アクセス).
[11] Gertrude Schafner Goldberg, Poor Women in Rich Countries: The Feminization of Poverty over the Life Course (Oxford: Oxford University Press, 2009), p. 3.
[12] 独身男性の約23% が貧困状態にあるが、貧困の割合は2016/2017年度の26%から低下している。‘DWP DataReveals Women and Children Continue to be Worst Affected by Poverty’, Women’s Budget Group website blog, 29 March 2019
[13] 以下のウェブサイトによる。Women’s Equality Party, www.womensequality.org.uk/equal_health
(2020年10月1日アクセス).
[14] Mary Daly and Catherine Rake, Gender and the Welfare State (Cambridge: Polity Press, 2004), p. 122.
[15] A. B. Atkinson, ‘Basic income: ethics, statistics and economics’, Nufeld College, University of Oxford, 2011.未出版の論文。以下で閲覧可能。www.nuff.ox.ac.uk/users/atkinson/ Basic_Income%20Luxembourg%20April%202011.pdf (2020年10月1日アクセス).
アナベル・ウィリアムズ ジャーナリスト、編集者

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Annabelle Williams

投資、経済、消費者問題を専門とするジャーナリスト、編集者。タイムズ紙でコラムニストとして活躍したのち、テレビ、ラジオ、パネルディスカッションに出演するなど、さまざまな活動を通して男女間の金融格差に対する事実を広めている。

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