あなたにも出来る!社労士合格体験記(第36回)--年金で重要な生年月日1956年4月2日
そこで、段階的に昭和27年4月2日生まれ以降、1年ごとに、要件を引き上げていくことになりました。昭和31年4月1日生まれは、その特例が最後に適用される生年月日で、受給資格者期間が24年に短縮されます。したがって、昭和31年4月2日生まれ以降は、特例が適用されず、受給資格要件は原則どおり25年です。
2階の遺族厚生年金が1階部分を補う
もう1つは、遺族厚生年金の「経過的寡婦加算」です。「経過的寡婦加算」を理解するには、まず「中高齢寡婦加算」を理解する必要があります。遺族に対する年金では、2階建て年金の1階部分である遺族基礎年金は、子(原則、18歳到達年度の3月31日まで)のない妻には支給されません。言い換えると、1階のない、2階のみの年金になります。
そこで、遺族厚生年金では、40歳以上65歳未満の遺族基礎年金が支給されない(つまり子のない)妻に限定して、遺族基礎年金の4分の3に当たる額が「中高齢寡婦加算」として加算されます。そして、「中高齢寡婦加算」の額は、生年月日によって額が変わることはなく一定です。
一方、「経過的寡婦加算」は、その「中高齢寡婦加算」を受けていた妻が65歳になり、加算がなくなったときに一定の条件の下に発生します。65歳から受給する自分自身の老齢基礎年金が少ないため、65歳前よりも年金が減少してしまう寡婦を救済する趣旨で、この生年月日要件が、昭和31年4月1日以前生まれなのです。
この規定は、旧法時代まだ国民年金第3号被保険者の規定がなかったときのことを考慮しています。つまり、強制被保険者期間が短いため、自分自身の老齢基礎年金が少ない人たちが対象なのです。そのため、生年月日が若くなるほど減額されていき、昭和31年4月2日以降生まれの人は加算がまったくなくなります。
次回は、駆け込み保養所巡りです。
【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】
翠 洋(みす・ひろし)
1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。現在は、職業訓練講師として「人事労務基礎科」「基礎演習科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」。
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