グーグル「ジャーナリスト支援事業」の本気度 新しい取り組み「News Lab」は何をもたらすか
そして、記事をアウトプットする方法についても学ぶことができる。
「Google Maps」では、マイマップ機能を使って、地図をカスタマイズしながら、リサーチ結果をいかに表現するかを解説している。「Google Earth Pro」では衛星写真や3D映像のアニメーション製作が行え、YouTube上にあるビデオをニュースに活用する際の方法が解説されている。
既存ツールだけでジャーナリストの武器になるようなものがたくさんある、ということだ。画像や動画の検索の精度も上がっており、記事内容のリサーチツール、そしてアウトプットの表現ツールとして、グーグルのテクノロジーの利用価値が高いことが分かる。
YouTube Newswireが取り組むこと
News Labでは、新たなプロジェクトもスタートさせている。それが「YouTube Newswire」だ。
これは、ニューズ・コーポレーション傘下のソーシャルニュースエージェンシー「Storyful」と提携し、ニュース価値のある現場での目撃をとらえたビデオを、編集者の手によって集めて紹介する仕組みである。
目撃ビデオは、既に米国のテレビニュースでは当たり前のように登場する。例えば筆者が住む米国カリフォルニア州バークレーでも、白人警官による黒人容疑者の致死事件に反対したデモ活動が激化したが、その際、デモの中からその様子を伝えたビデオが、イメージ共有サービスであるInstagramに多数投稿されていた。
Instagramのコメントでメディアのフォトグラファー・ビデオグラファー、編集者が撮影者に連絡し、映像を買い付けている様子を何度も見かけた。そして、撮影者のクレジットやInstagram、あるいはTwitterアカウントともに、テレビのニュースで放映されたのだ。Storyfulは、YouTube上からそうしたビデオを見つけて事実確認をし、利用できるソースとしてピックアップしている。
YouTubeに限らず、TwitterやInstagram、Facebook投稿など、ニュースをクラウドソースで作り上げる方法は、個別の編集者の裁量やコミュニケーション能力に依存していた面がある。これを仕組み化する取り組みと位置づけられ、ソーシャルを活用した、信頼度の高いニュース作りはより活発になるはずだ。
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