仕事に忙殺される起業家がつい見失う2つのこと 「CDベイビー」創業者が教えるシンプルな原則

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僕はもともと、本を書くつもりはなかった。書いてほしいと頼まれても、いつも断っていた。自分のウェブサイトに記事を書くだけで満足だった。

ところがあるとき、僕のヒーローで著名作家のセス・ゴーディンから電話があった。新しい出版社を立ち上げるので、最初に刊行する本の著者になってほしいと言われた。

もちろん、二つ返事で承諾した。

セスからは、短く、マニフェストのような本を書いてほしいという注文があった。

そこで僕はこの本を11日間で一気に書き上げ、そのまま原稿を渡した。『エニシング・ユーウォント(好きなことをやれ)』というタイトルを決めたのは彼だ。

起業の基本とは何だろうか?

この本は現在も売れ続けていて、多くの起業家に影響を与えている。

ここには、自分にとって当たり前のことを書いただけだ。だから、それが熱狂的に受け入れられたのには正直驚いた。

でも、自分にとっては当たり前のことでも、他人にとっては驚くべきということもある。

意外にも、この本はビジネスの経験が豊富な人から受けが良かった。「忘れかけていた初心を思い出させてくれる」ということらしい。

経験の浅い起業家からも、ベテランの起業家からも、「基本に立ち返るのに役立つ」という感想が寄せられた。

特に、次の2点の大切さをあらためて実感できるのだという。

1 起業の究極の目的は幸福だ 利益やサービスの追求さえも、突き詰めればそれは自分や顧客を幸せにするためのもの。だから、幸福を最優先させよう。たとえそのことで利益が減ったとしても、自分と顧客を幸せにすることをビジネスの中心に据えること。

2 他人の真似などいらない 自分の会社では、自分で自由にルールをつくれる。思いどおりに夢を叶え、小さなユートピアを創造できる。他の企業がしていることは無視して、自分にとって理想的な世界はどのようなものかを考えよう。

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