「戦力の集中」運用に背いたゆえのミッドウェー敗戦 空母4隻と2隻に分けたことがそもそもの敗因

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結果、同じく敗因とされる第2次攻撃隊と兵装転換の誤判断も消滅する。当初、日本艦隊はアメリカ艦隊出現に備えており、空母で待機中の艦載機には軍艦攻撃用の魚雷を搭載していた。

その状態の中で友永隊から「ミッドウェー攻撃は不充分に終わった。第2次攻撃が必要である」との報告があり、艦隊指揮官は7時15分に魚雷から陸上攻撃用の爆弾につけかえる命令を出した。

しかし、その30分後の7時45分に「利根」4号機から「アメリカ艦隊発見」の報告を受けて魚雷に戻す命令を出した。その混乱はなくなるのである。

なによりも米空母への先制攻撃が可能となる。索敵が予定通りに進み、そこで米空母を発見したとしよう。それであれば日本艦隊は即座に攻撃部隊を発艦させる。

また、索敵に失敗しても滑走路破壊が成功すれば兵装転換の混乱は生じない。滑走路破壊前に発進したミッドウェー島航空部隊の空襲が7時頃から始まるものの熾烈ではない。

その合間に攻撃部隊は発艦できる。実戦例のように空襲下の兵装転換が10時30分になっても終わらず攻撃部隊を出せないままの事態は生じない。

防衛にも成功する

先制撃破は間違いない。米空母攻撃部隊の規模も増大するからである。集中運用により艦上待機中の航空機は実戦例の103機から130機以上に増える。

艦上攻撃機43機、艦上爆撃機36機、艦上戦闘機24機から、北方部隊の「隼鷹」と「龍驤」の艦攻と艦爆の半分にあたる9機と8機、艦戦12機を足した132機となる。当時の海軍航空隊なら米空母3隻すべて撃破できる。

第2に、日本側防衛も成功する。米空母の先制撃破に失敗しても、その後のアメリカ軍の空母航空部隊の攻撃に耐えきるからである。これも集中運用がもたらす効果である。

最初に防空戦が有利となる。空母2隻の追加により艦隊の戦闘機数は実戦例の82機から118機まで増える。

迎撃に参加する戦闘機数も実戦例の34機超から単純計算で48機超まで増加する。ちなみに、北方部隊の艦上戦闘機もすべてゼロ戦である。

水上艦の増勢もそれなりの効果を生む。北方部隊をすべて編入した場合、南雲艦隊の水上艦数は実戦例の17隻から35隻になる。

有効な対空射撃能力を持つ戦艦と重巡洋艦の数は4隻から7隻に増える。当時の軽巡洋艦と駆逐艦には対空戦はあまり期待できないが、それでも対空監視は充実する。

敗因のうちの対空警戒不充分も解消する。実戦例では10時20分と17時01分にあったアメリカの急降下爆撃機を2回とも見逃したため日本空母は全滅した。

前者がいわゆる「運命の5分間」である。それが戦闘機数増加と水上艦増勢で改善する。発見と迎撃の見込みが立つのである。

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