「戦力の集中」運用に背いたゆえのミッドウェー敗戦 空母4隻と2隻に分けたことがそもそもの敗因

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まずミッドウェー方面部隊と同時攻略を計画したアリューシャン方面部隊を作り、さらにミッドウェー方面艦隊も空母部隊と戦艦部隊を分けた形だ。

ミッドウェー方面艦隊のうちの空母部隊は、いわゆる「南雲艦隊」であり、戦艦部隊は「主力部隊」のことである。アリューシャン攻略部隊は「北方部隊」である。

最重要戦力の空母も南雲艦隊4隻と北方部隊2隻にしている。加えて主力部隊に旧式空母「鳳翔」1隻、上陸船団の護衛に軽空母「瑞鳳」1隻を割いている。

航空機や水上艦も同様である。南雲艦隊と北方部隊で空母艦載機を263機と75機に、水上偵察機は17機と11機に、戦艦と巡洋艦、駆逐艦は16隻と19隻に分けた形である。

日本は先制撃破に成功する

この戦力分散が最大の敗因ではないだろうか。なぜなら原則どおりに戦力の集中運用を図れば他の敗因はすべて霧消するためだ。

敗因として挙げられる暗号解読ほかにより情報秘匿に失敗しても、作戦目的について不明瞭なままとしても、それ以外の失敗や事故が起きても日本は勝ててしまうからである。

これは実戦例との比較で明瞭となる。南雲艦隊に空母以下の戦力を集中したうえでミッドウェーを攻略すればどうなるのか。北方部隊も編入して空母6隻、艦載機338機、水上偵察機28機、戦艦、巡洋艦、駆逐艦35隻を投入する。そのうえで、ミッドウェー海戦と全く同じ事象が発生すればどうなるか。

第1に米空母の先制撃破が可能となる。集中運用による戦力増強で索敵とミッドウェー島攻撃は成功するからである。その場合、アメリカの空母はおそらく3隻とも沈む。

はじめに、索敵成功により現地時刻で午前6時頃には米空母を発見する。実戦例では南雲艦隊は7機しか索敵機を出さなかった。そのために米空母を見落とした。それが集中運用で改善する。

索敵で使用した水上偵察機は17機から28機に、偵察兼任の艦上攻撃機も93機から113機に増える。捜索線は実戦例の7機7線から最大14機14線程度まで、そこまでいかずとも10機10線までは増えるだろう。

敗因の1つである索敵失敗はなくなるのである。「筑摩」1号機の雲上通過と「利根」4号機の30分の発艦遅延と位置誤認は問題とはならない。別の偵察機が米空母を発見するからである。

また、ミッドウェー島への航空攻撃も成功する。有名な友永隊は実戦例では108機であった。これは南雲艦隊263機中の41%に相当する。

それが集中運用で合計338機となった場合、同じ41%を出せば139機となる。飛行場攻撃は充実し、滑走路破壊は実戦例の不充分から破壊確実となる。

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