グリコ、一部出荷再開も「プリン」おあずけのなぜ アーモンド効果や牛乳は再開、業績の影響は?

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今回「アーモンド効果」が再開の対象となったのは、賞味期限が長いからだ。ほかのチルド商品と比べて長期間在庫を持てるため、再開後に想定を上回る受注があったとしても、欠品するリスクは低い。

一方、「グリコ牛乳」などの日配品も対象となった。賞味期限の短い牛乳が再開される背景には、原料である生乳の調達における事情がある。

生乳の調達量は各メーカーが自由に決定できるわけではなく、業界団体が割り振る仕組みだ。出荷停止による生乳の廃棄を避けるために、グリコに対する生乳の振り分け量は減っていた。

こうした状況が続けば、同社の調達量は慢性的に減らされかねない。今後も生乳を安定的に調達する狙いから、出荷再開のラインナップに牛乳が入ったというわけだ。

しかし、主力商品の「プッチンプリン」や「BifiX」ヨーグルトについて、グリコ広報は「出荷時期は明示できない」としている。これらの商品は賞味期限が短いうえに発注量は多い。物量の見通しがつきにくいのだ。いまだ安定供給の準備が整ったとはいえず、再開はまだ先になる。

「売り上げの大きい商品から再開する考え方もあるだろうが、今回は安定供給を最優先した」(グリコ広報)。

さらなる業績下押しの懸念も…

システム障害による影響額は売上高で200億円、営業利益で60億円を見込んでいる。このため、グリコは5月に2024年12月期の通期業績予想を下方修正した。

再開のメドが立たないプッチンプリンやBifiXなどの商品は「乳業事業」セグメントに含まれる。同セグメントは期初に営業利益6億円を見込んでいたが、下方修正で33億円の赤字に転落する見通しだ。

業績のさらなる下押しも懸念される。小売店にはすでに競合メーカーの商品が並び、棚を取り戻すには一定の時間が必要だ。人件費など危機対応の費用や、キリンビバレッジに対する補償金の発生なども予想される。

システム障害を再発させずに出荷を再開し、安定供給を実現できるか。グリコの正念場はまだ続きそうだ。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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