昨年の東京都のタクシー運転手の平均年収推計額は約586万円で、前年より160万円増と大幅な増加となっている。この数字は過去を振り返っても、最高水準のものだ。
ただ、労働環境が改善したとはいえ、タクシードライバーはコロナ前の水準にはまだまだ戻っていない。一方で、ライドシェアには想定以上の応募者が集まった現実もある。その理由について、「職種のイメージが大きい」と野底さんは分析する。
「日本型ライドシェアのドライバーの方からいただく感想でもっとも多いのが、『やってみたら意外とよかった』ということです。タクシー業界は長時間労働、流し営業がキツい、というイメージを持たれがちですが、アプリの普及により、流しや待ち時間がなくて効率的に働ける、という点が大きいと思います。行き先ややり取りもアプリだけで完結するので、心理的なハードルが下がったことが、ライドシェアドライバーの方に刺さっているのではないでしょうか」
学生など若い世代もアルバイト感覚で
鈴木航平さん(28)は、新卒で日本交通に入社後、タクシー乗務員や運行管理などを経て、NRS事業部の立ち上げに関わってきた。現在は採用が主な業務で、ほとんどの応募者の面接に携わっている。いったいどんな層がライドシェアドライバーとして働いているのだろうか。
「弊社の場合、男性9割・女性1割といった感覚です。年齢層は20~60代と幅広く、平均年齢は50代となります。大半は、本業が昼以降に始まる自営業や、時間の余裕がある経営者の方ですね。
共通しているのは、運転が好きということでしょうか。一方、ここ数週間では、学生さんの応募が非常に増えて、10人に1人ほどの割合で、大学生を中心とした若い世代が働くようになっています。アルバイトとしては条件がいいですし、徐々にそうした認識が浸透し始めているのでしょう」
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