日本交通には、これまでに1万件近いエントリーがあった。しかしそれでも、国交省から振り分けられた台数は、まだ半数程度で推移しているという。車両条件の規定や、本業や勤務時間の希望の兼ね合いで、実採用に至っているのは応募者のうちの2割にも満たないからだ。
それでも、従来のタクシーとは異なる働き方を希望するドライバーの多さに、業界歴20年超の野底さんも驚きを隠せなかった。タクシーやバス、トラックなどの運送業全般で人手不足が喧伝されている現状を考慮すると、ミスマッチの深刻さが浮かび上がる。
都内での状況に関しては、時間帯や23区の中でもバラつきがある。特に稼働が活発なのが、朝方の目黒区と世田谷区だ。ドライバー数に比べて利用者が多く、著しくマッチング率が低い。この2区と近接する渋谷区、新宿区はNRS事業部が重点的に営業を強化している地域でもある。
「目黒区と世田谷区のマッチング率を改善するため、車両を同区からスタートさせるなど工夫しています。ただ、乗務中ほとんどの時間でアプリが鳴りっぱなしのため、その後の移動で戻ってくるわけではなく、難しさもあります。時間帯は金曜日の深夜帯が想定より低く推移しており、朝方がドライバーさんからも利用者さんからも人気が高くなっています」(野底さん)
平均時給は2000円前後
待遇面はどうか。同社のドライバーの給与体系は、時給1400円に加え、ガソリン代などの諸手当が400円つく。ここに時間あたりの売り上げで3000円を超過した分には歩合給が加わる。野底さんによれば、「半数以上は歩合給を達成している」という。
平均時給に換算すると2000円前後という計算になる。この数字については、「二種免許がないほぼ素人の方がやってもこれだけ(数字が)上がるということです」と語気を強めた。
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