ライドシェア、採用側も驚いた応募者殺到の理由 平均年齢は50代、学生がバイト感覚でも

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ドライバーの大半は、旅客運転が本業ではない。まだ手探りな面もある中でアフターフォローに関わるのも、鈴木さんの仕事だ。現場から寄せられる声で最も多いのは、「道順への不安」だという。

「道が不安だという声はやはりいただいています。アプリ上のナビで実際は決められた道を走るだけではありますが、道を知っていることは運転の自信に繋がるという心理はあると感じます。実際に日本型ライドシェアを利用される方は、タクシーと同じ感覚で道の指定をする方もいるので。この辺りはフォローや研修で改善できる点だと感じています」(鈴木さん)

個人的に興味深かったのが、車両についてだ。筆者が複数の日本型ライドシェアを行うタクシー会社を取材している中で、「実は高級車が占める割合が多い」と聞いていた。実際にポルシェやベントレー、センチュリーという車両がライドシェアとして都内を走っているという。

タクシー会社としても当初は「冷やかしか」と半信半疑だったというが、思いのほか普通に営業しているというのだ。この点を、鈴木さんに聞くと「ベンツやBMWはざらです。ポルシェ・カイエン、テスラも普通にありますね。ただ高級車が特別多いというよりは、グレードは比較的均等に分かれている、という感じでしょうか。とはいえ、ベンツやBMWでは驚かないような超高級車のドライバーさんがいることも事実です」。

ドライバーを継続的に採用できるか

今後日本型ライドシェアが浸透するための課題は、ドライバーを継続的に確保できるかという点だろう。特にバスの減便が深刻な地方は、交通手段の確保がより重要となるだけに、切実だ。前出の野底さんがこう続ける。

「『稼働時間をもっと長くしてほしい』という声がもっとも多いです。そこが採用のネックになっている点は間違いないですが、労務上の観点からは、単純に長ければいいというわけではないので非常に悩ましい。

一方、地方の採用に関しては悲観していません。地方は車の保有率が高いからです。不採用になる方の9割近くが車両条件で引っかかっています。その点、地方のほうが採用のハードルは低くなると考えられます。弊社に応募する方の中でも、『大阪でやりたい』という声もあり、そういう方には希望するエリアを紹介しています」

タクシーの供給不足を補う目的でスタートした日本型ライドシェアの現場は、試行錯誤を重ねながら適応を図っている。国交省が定める、交通インフラの改善に有効な手段になりえるか、今後も注視していきたい。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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