「水卜アナ出世に憧れない若手」意外と多い"なぜ" "日テレの象徴"とされるが後には続かない?

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もちろん、俳優・中村倫也との結婚を羨む声は多い。それは志望者だけではなく、実際に局で働く若手の女子アナからも「どうやって中村倫也と出会うんですかね!?」と羨望と妬みの混ざったような声を聞いたこともある。

ただ、仕事面における憧れ、すなわち彼女のアナウンサーとしての本質部分に対する憧れの声はほとんど聞いたことがない。そしてそれは、今回のアナウンス部の管理職に昇進、現在の同局内では最年少での管理職への抜擢である――というニュースを経ても変わる気配がない。

現在の民放キー局において、水卜のように“フリーになっても大成功するはずなのに局内での出世を選ぶ”道を進んでいるのは、彼女とTBSの安住紳一郎アナウンサーくらいのものだろう。

現在50歳の安住は、「エキスパート職」とされていて、現役のアナウンサーでありながら役員待遇の位置にある。局の看板であり、フリーになっても大人気になることが予想され、起用するには高額のギャラが必要になるであろう人材を逃さないために待遇を厚くしていくのは局としては当然のことで、もしかしたら水卜もこのような道を歩むかもしれない。

十数年前、じつは筆者自身もアナウンサー試験を受験しており、その際に当時TBSで働いていたアナウンサーにOB訪問する機会を得た。そこで、面接の練習がてら「うちで憧れのアナウンサーは誰?」と聞かれたことがある。

筆者はそこで、安住の名前を出した。すると、そのアナウンサーは一言こう返した。「安住か。あれは、目指すもんじゃない」。

その意味が、当時はよくわからなかった。即答かつ冷ややかなその一言に、固まった記憶もある。一瞬、そのOBの方の名前を出さなかったことがまずかったかと思ったが、冷静だが懐の広い方で、そういうわけではなさそうだった。だが、今ならその意味がわかる気がする。

「目指すもんじゃない」とは「目指してなれるようなもんじゃない」ということだったのではないだろうか。

若者たちが「水卜ちゃんに憧れない理由」

その後、指導する側にまわった筆者は、逆に「なぜ、水卜麻美を目指さないのか」を大学生たちに聞いてみた。

彼女たちの答えをまとめるとするならば、それは「水卜麻美のなり方がわからない」ということだった。もう少し噛み砕いていうならば「どうやって局内であそこまで推されるようになるのかわからない」「あそこまで局内で評価される道筋にのるイメージがわかない」といったものだ。

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