オフィスビルは空洞化「外資撤退続く」香港の現在 香港はもはやビジネスのできる都市ではない
「外資系企業を経営していて声を上げれば、すぐさま厳しい監視下に置かれることになる」。モルガン・スタンレー・アジアの元会長スティーブン・ローチは、取材でそう語った。
ローチは2月、「香港は終わった」と断言するオピニオン記事をフィナンシャル・タイムズに寄稿した。記事が掲載されると、ローチは中国で最も重要な経済会議のひとつである「中国発展ハイレベルフォーラム」での講演を過去24年間で初めて阻止されたという。
ローチは自分の目で見たり香港在住の元同僚や友人から聞いたりした変化を受けて記事を執筆したという。ローチは2007年から2012年まで香港に居住し、過去1年間にも何度か香港を訪れている。
投資家も新しい状況への対処を模索
2019年に香港全体に広がった抗議デモが、中国による国家安全維持法の施行につながり、政治的な反対意見が封じ込められた。香港はかつて新興企業から老舗企業に至るまで、中国企業にとって新規株式公開の中心地となっていた。金融センターとしてトップの一角に君臨する香港の地位は不動のものだった。
ローチの友人たちはその後、中国政府が食い込むように地方統治に対する影響力を強めるといったさまざまな要因から、香港の将来に疑問を抱くようになったという。
投資家も新しい状況にどう対処すべきか模索している。中国政府とつながりのある中国企業はアメリカの制裁対象となり、香港の株式市場に上場する企業の多くに投資できなくなったためだ。