「絶対捨てられない」"収集癖の女性"が片付けた日 思春期を迎えた息子に部屋を作ってあげたい

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一方、推しの対象がキャラクターではなく生身の人間の場合、写真が何かにプリントされているだけで集める動機になりうる。たとえ使い道のないモノだったとしても集めたくなる。いくらグーフィーが好きだからといって、「グーフィーがプリントされたうちわを眺めているだけで幸せ」とまではいかないだろう。

ビデオテープすべてに1万円札を挟んでいる住人

人の収集癖というのは他人には理解しがたいものがある。こんな不思議なモノを集めているゴミ屋敷・モノ屋敷の住人たちがいた。

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「急に倒れてしまった父親の部屋を片付けてほしいという依頼があったんですが、お父様は昔のアダルト本のページをきれいに切り取り、クリアファイルに入れて大量に保存していました。ここまで来ると“性欲”の範疇を超えているわけじゃないですか」(二見氏)

本人は「昔のアダルト本」に対し、家族でも計り知ることのできない並々ならぬ情熱とこだわりを持っていたのかもしれない。

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「捨てられない」を繰り返す依頼者に根気強く寄り添うスタッフ(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「今ではもう馴染みがないかもしれませんが、ビデオテープが入っているプラスチックのケースがありますよね。そのケースとビデオの間すべてに1万円札を1枚ずつ入れている人もいました。でも、そのとき作業をしていたスタッフの一人が“俺も漫画本に1万円挟んでる”って言ったんです。本人いわく、自分の好きなモノに挟んでおけば忘れることがないので貯金の代わりにそうしているそうです」(二見氏)

本人が大切にしていたモノでも、親族がわからずに捨ててしまう可能性は大いにある。そう考えると、代金をもらって片付けている手前だとしても、女性の「他人から見たらめっちゃゴミなんですよ」という言葉を軽く流すことなどできないのだ。

最終的には予定していた物量の3割しか捨てることができなかった。しかし、作業が後半になるにつれて、女性のモノを捨てるペースは上がっていた。だんだんとモノを捨てることに慣れ、捨てることで部屋が広くなることに楽しみを覚えていたようだった。

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片付け前のリビング(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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片付け後のリビング。モノはまだ残るが、だいぶスッキリした(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「前までの状態やったら、どこから手つけていいかわからないから、やる気が起きなくて。でも今やったら、仕事が休みのときに頑張ろうかなと思えます。和室がちょっと片付いたので、ゴミの日までに片付けたモノを置いておけるスペースができました。それがあるだけでもモチベーションが上がります」(女性)

ただ、何よりも「子どものために」という動機があったことが、女性が前に進む原動力になったのだろうとも思う。

國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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