この曲の凄みは、まずは「日本初のインディーズ発ヒット」ということ。そもそもはアマチュアグループとしてのフォークルの解散を記念して作られた自主制作盤『ハレンチ』の中の1曲だった。それがラジオで火がつき、メジャー契約。瞬く間に特大ヒットになったのだ。
次に「日本初の自宅録音ヒット」ということ。録音された場所は、スタジオではなく、きたやまおさむの家。その録音作業の中で、若き加藤和彦が中心となって、ロボットのような声への加工など、さまざまな音楽的実験を成し遂げた。
そして、数々の珍奇な音の多重録音は、サンプリング技法の先取りともいえ、つまりは「日本初のヒップホップ・ヒット」とも言えよう。
と、そんな風変わりな曲が「オリコン初のミリオンセラー」となったのだ。1968年1月から始まったオリコンチャートにおいて『帰って来たヨッパライ』は、その3週目に首位に立ち、5週間にわたって首位をキープ。オリコン上の売上枚数は131.3万枚と記録されている。
『あの素晴しい愛をもう一度』の凄み
次に「加藤和彦・北山修」名義の『あの素晴しい愛をもう一度』は、個人的には加藤和彦の最高傑作だと思っている。
加藤和彦によるシンプルなコード進行とメロディ(このあたりに作曲家としての彼の本質があると思っている)と素晴らしいギタープレイに、北山修による清潔な世界観の歌詞。
その後、商業化・複雑化・混沌化していく日本の音楽シーンにないものが「全部入り」になっているように思う。
結果、老若男女みんなが一緒に歌える1曲として、今でも特別な形で愛されている。逆にいえば、その後のニューミュージック~Jポップにおいて、みんなが一緒に歌えるような曲は驚くほど少ない。
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