「中国男性を褒めるロシア女性」動画バズる背景 中国人のプライドくすぐるフェイク動画の正体

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外国人の顔を使って中国を持ち上げるコンテンツは、中国人の民族的プライドや愛国心に付け入ろうとするものでもある。一段と多くのトピックが検閲で禁止される中、愛国的なコンテンツは中国のネット上でトラフィックを確実に稼げる方法の1つとなっている。

このような愛国主義には、世界中の愛国主義と同じく、性的な要素が含まれることが多いと、ダラム大学(イギリス)の国際関係論教授チェンチェン・ジャンは言う。

「このように性の対象とする形で若い白人女性を見せることは、性的なナショナリズム、あるいはナショナリスティックな性差別の典型だ」とジャンは電子メールの取材に答えた。「視聴者はこの種のコンテンツを消費することで、愛国心と男性としてのプライドの両方を改めて肯定することができる」。

ザライを加工したいくつかの動画では、フェイクのザライが視聴者を「お兄ちゃん」と呼び、中国と緊張をはらんだ関係にある日本や韓国ではこれらのロシア製品は販売していない、と述べている。

本物のロシア女性が使われるケースも

中国政府はしばしば愛国的なオンラインコンテンツを奨励してきたが、今回のディープフェイク動画との関連を示す兆候はない(ただし、一部の地方政府は、本物のロシア人女性と提携して、中国の魅力について似たような宣伝を行っている)。中国のSNSには、本物のロシア人インフルエンサー(その多くは若い女性だ)による小規模な経済圏も存在している。

動画制作者の多くは単に、中国の人々がライブストリーミングや短い動画でショッピングを楽しむ状況を利用しようとしているだけかもしれない。AI技術の進歩に伴い、中国企業の中にはすでに、経費節減目的で本物の販売員をバーチャルの販売員に置き換えたところもある。

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