応募者に「リファレンスチェックをさせてほしい」と提案すると、「だったら結構です」「それなら他社の選考を優先します」と断られるケースもある。その場合は、本人に「何かやましいことがあるのでは?」と勘ぐらざるを得ない。
ちなみに選考過程で、応募者をビジネス向けSNS「LinkedIn(リンクトイン)」で検索し、経歴もろもろ確認することが多いのだが、そういう人物に限って、なぜかリファレンスチェックを断られた直後から、一切検索ができなくなってしまう。
つまり、相手方から突如、ブロックされてしまうということだ。これまでの経歴や仕事ぶりで、知られてはマズイことでもあるのかと、つい邪推してしまう。
でも、それこそ、採用するか否かのバロメーターになる。リファレンスチェックは、いわば最終選考時の「踏み絵」と言ってもいい。
人事は「疑わしきは採らない」
人事採用ほど、正解がないものはない。採用した人物が思わぬ成果を発揮してくれることもあれば、逆に会社や今いる社員に損害をもたらすこともある。
ミスマッチどころか、問題社員を採ってしまった場合、人事の責任を問われかねないが、そもそも採らなければ失敗にはならない。人事は、採るリスクを誰よりも知っているからこそ、「疑わしきは採らない」という厳しい目線になりがちだ。
先のAさんのケースでは業務が滞った上に、部下のやる気も下がり、業績にも影響を及ぼしてしまった。本人も合わなくてつらかっただろうが、一方で会社側にダメージがあった部分も否めない。
いかに入社前に、応募者について深く知ることができるか。リファレンスチェックの活用を含め、人事として、あれこれ頭を悩ませる日々である。
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