期待の社員がなぜ失速「不幸な」ミスマッチ防ぐ策 中途採用で役立つ「リファレンスチェック」

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応募者に「リファレンスチェックをさせてほしい」と提案すると、「だったら結構です」「それなら他社の選考を優先します」と断られるケースもある。その場合は、本人に「何かやましいことがあるのでは?」と勘ぐらざるを得ない。

ちなみに選考過程で、応募者をビジネス向けSNS「LinkedIn(リンクトイン)」で検索し、経歴もろもろ確認することが多いのだが、そういう人物に限って、なぜかリファレンスチェックを断られた直後から、一切検索ができなくなってしまう。

つまり、相手方から突如、ブロックされてしまうということだ。これまでの経歴や仕事ぶりで、知られてはマズイことでもあるのかと、つい邪推してしまう。

でも、それこそ、採用するか否かのバロメーターになる。リファレンスチェックは、いわば最終選考時の「踏み絵」と言ってもいい。

人事は「疑わしきは採らない」

人事採用ほど、正解がないものはない。採用した人物が思わぬ成果を発揮してくれることもあれば、逆に会社や今いる社員に損害をもたらすこともある。

ミスマッチどころか、問題社員を採ってしまった場合、人事の責任を問われかねないが、そもそも採らなければ失敗にはならない。人事は、採るリスクを誰よりも知っているからこそ、「疑わしきは採らない」という厳しい目線になりがちだ。

先のAさんのケースでは業務が滞った上に、部下のやる気も下がり、業績にも影響を及ぼしてしまった。本人も合わなくてつらかっただろうが、一方で会社側にダメージがあった部分も否めない。

いかに入社前に、応募者について深く知ることができるか。リファレンスチェックの活用を含め、人事として、あれこれ頭を悩ませる日々である。

萬屋 たくみ 会社員(人事部長)

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よろずや たくみ / TAKUMI YOROZUYA

人事歴20年以上。大学卒業後、証券会社を経て、米国にMBA留学。経営視点からの人事戦略について学びを深める。帰国後、大手メーカー(売上高数兆円規模)の人事職に。国内外の拠点にて、採用から教育、人事異動、評価・報酬、労務など人事全般を手がけるほか、日々降りかかる社内の難題に取り組む。それらの実績と問題解決力が買われ、異例の30代で本社人事部の部長職に。さらに幅広い業界・業種で経験を積むため、総合商社やメーカー(外資・ベンチャー含む)にて、人事部長として組織づくりや改革に力を注ぐ。

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