それはAさんの過去の仕事の進め方と、今の仕事で求められているやり方に大きな乖離(かいり)があるからではないかと推測した。
おそらく、これまで勤めてきた外資系企業では海外本社の意向が強く、管理職といえども、自身で意思決定する場面が少なかったのだろう。それは、常に担当役員の意向をうかがう、「待ちの姿勢」からも想像がついた。
日に日に業務の滞りは顕著になり、部下との摩擦も増えるように。本人も居づらくなったのか、1年ほどで退職。管理職の裁量権が大きく、スピーディな意思決定が求められるベンチャーにはハマらなかったようだ。
面接巧みな応募者ほどミスマッチを生む
こうした本人の仕事の進め方やスタイルも、入社前の面接で把握できればいいのだが、そこまでつかみきれないことが多い。
なぜなら転職を複数回、経験している応募者の中には、面接での受け答えが巧みな人も少なくないからだ。
面接上級者ともなれば、応募先企業の職務内容に合わせて、変幻自在に自身の経験値と重ね合わせたアピールができるし、どんな変化球の質問にも小気味よく返答してくれる。
「まさにうちの会社にぴったりだ!」と即採用したくなるのだが、Aさんのケースのようにお互いにとって不幸なミスマッチを起こさないためにも、事前の「リファレンスチェック」は必要だと考えている。
リファレンスチェックとは、応募者の職務経歴や実績に虚偽がないかどうか、本人の同意を得たうえで前職の上司や同僚、部下などに確認できる仕組みのこと。
前記事でもお伝えしたが、リファレンスチェックは経歴の確認だけでなく、その人の「仕事の進め方やスタイル」を深く知るためにも大いに役立ってくれる。
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