北海道コンビニ首位守るセイコーマートの独自性

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「世界のスーパーでいちばん売れ筋のワインは500~600円相当」(赤尾会長)と、現地情報に裏打ちされた姿勢が、日本の食品・酒類流通の“常識”にとらわれない独自性を育んだ。

かつて滋賀、岡山で苦労したセイコーマートをファミリーマートに譲渡した関係もあり、2006年にセイコーフレッシュフーズが合弁で北海道ファミリーマートを設立。店舗数は47店まで増えた。これを受けて「大手の軍門に下るのでは、と地元紙にまで言われる」と赤尾会長は憤慨する。

全道へ生鮮品を配達できる物流網を持つのはセイコーマートのみ。合弁は、北海道進出の遅れたファミマへの“恩返し”と同時に、セブン、ローソンにパイを食われるなら、逆に大手ブランド需要を取り込もうとする貪欲さの表れだ。

日本では過疎の停滞地域と見られがちな北海道も、グローバルスタンダード目線では「スイスの2倍の国土と、フィンランド並みの約19兆円の道内総生産を持つぜいたくな市場」(丸谷智保社長)に映る。

「ウチは稚内に店は出せない」と大手コンビニが語るように、広大な道内を制覇した物流は他社の追随を許さない。さらに「人口1800人の町で、セイコーマートへの来店客が1日600人いる地域もある」(丸谷社長)。会員カードによる囲い込みなど、さらに深掘りを進める戦略だ。

「将来の食糧事情を考えると、全国の食品の50%以上を生産する北海道経済はこれからよくなる」(赤尾会長)との読みもある。農業法人は175棟のハウスを保有し、さらなる高齢化や資源価格高騰に備える。

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