LINEヤフーへの行政指導が悪手である3つの理由 再発防止に資本関係の見直しが必要なのか

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2024年5月8日、記者会見場で謝罪するLINEヤフーの出澤剛社長(写真・共同)

せっかく良好になった日韓関係が、急速に怪しくなってきている。焦点は、読者の皆さんも日常的に使っているであろうLINEだ。

情報漏洩が発生したことを受けて、日本の総務省が再発防止策を運営会社LINEヤフーに求めたまではよかった。ところが、大株主である韓国IT企業ネイバーとの資本関係見直しまで迫ったことが韓国からの強い反発を招いている。

「ネイバーの経営権を剥奪しようという日本政府の企みだ」という構図で受け止められているのだ。

日本のネット上では「また韓国が難癖つけている」「国民的アプリのLINEから韓国企業を排除するのは当然」といった批判的な書き込みがやまない。

だが、通商問題に詳しい日韓双方の専門家からは、総務省の行政指導が悪手だという指摘が相次いで出ている。大きく3点に分けて掘り下げてみたい。

情報流出対策に資本関係見直しが必要?

問題が起きたのは2023年9月以降で、LINE利用者らの個人情報が最大で約52万件流出した。同種の情報流出は世界各地で多発している。ただ、LINEの件がやや特殊であったのは、ハッカーがまず不正にアクセスしたのは韓国のネイバーの子会社であったこと。

そこから日本のLINEに侵入し、情報を抜き取った、というのが大まかな流れだ。

なぜそういう行為が可能だったのか。それは、ネイバーの子会社とLINE(正確には旧LINE社)の認証基盤が共通なものであり、ネイバー子会社がLINEの社内ネットワークに広範囲でアクセスできていたことがあだとなったのだ。もともと、LINEはネイバーの日本法人が開発したSNSでもある。

2024年3月、総務省はLINEを運営するLINEヤフーにセキュリティ対策の強化を求める行政指導を行った。波紋を呼んだのが、ネイバー子会社からのアクセスを制限するといった技術的な改善を求めたのにとどまらず、大株主であるネイバーとの資本関係見直しにまで踏み込んだことだった。

LINEヤフーは、中間持ち株会社であるAホールディングスが株式全体の64%を保有し、そのAホールディングス分をネイバーとソフトバンクが50%ずつ保有している構図だ。

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