フランスで増加「環境問題で引きこもる子」のなぜ ジャーナリストの西村カリン氏に話を聞いた

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ただ、そのせいで気候変動による不安症(エコ・アンクシエテ)になる若者が増えていることには私も驚きました。特に中学生や高校生、社会人になったばかりの若者に多いようです。

地球にダメージを与えるからと肉を食べずヴィーガンになる。CO2排出量を増やしたくないから飛行機に乗らず、海外に行かない。世界の人口は限界に近づきつつあるから子どもは持たない──。それがエスカレートして、引きこもりやうつ病になる若者もいます。

街中の広告トラックへの疑問

──日本では気候変動を気に病む若者の話はあまり聞きません。

昔から自然災害が多いから、ヨーロッパのような危機感を肌で感じにくいのかもしれませんね。日本が気候変動の影響を受けていないわけではないと思うのですが、なぜか誰も気にしていないように見えます。

G7のような国際会議の場で、日本政府は「エネルギー消費量を減らします」と宣言しています。でも、私から見れば具体的な対策をしているとは思えません。

2023年9月8日、私は当時の松野博一官房長官に、内閣官房長官記者会見で、広告を照明で光らせながら街中を走る「広告トラック」について質問しました。「政府は本気で節電をするつもりなら、電気の無駄遣いを規制すべきでは?」

官房長官の答えはこうでした。「広告等に関しては個別の事業者によって行われているものであり、いま政府としてコメントすることは差し控える」。民間企業の電気の無駄遣いに政府が介入できないのは仕方ないと言わんばかりでした。

西村カリン フランス 記者
西村カリンさん(写真:本人提供)

身の回りにプラスチックがあふれているのも気になります。ビニール袋や商品のプラスチック包装、使い捨てのナイフやフォークを見て、日本に来た外国人はびっくりしています。ヨーロッパではすでに禁止されていますから。

日本は消費したものをリサイクルする意識は高いですが、資源の節約や省エネの意識は低いと思います。

日本では1970年代のオイルショックをきっかけに省エネ法が制定され、世界に先駆けてエネルギー問題の解決に役立つ技術開発が進みました。優れた省エネ家電もたくさん生まれました。でも、どこかで環境意識が低くなってしまったように見えます。残念です。

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