中国進出第4次ブームで商機うかがうメガバンク
メガバンクの場合はより切実だ。国内企業の資金需要は低迷。住宅ローンも着工件数の減少で壮絶な金利競争に陥っている。貸出金の減退とゼロ金利の長期化による利回り低下が続き、預貸の利益は縮小。国債運用でしのぐ決算が続く。
公的資金返済後、メガバンクは海外進出を打ち出し、2007年に三菱東京UFJ銀行とみずほコーポレート銀行が、09年に三井住友銀行が中国に現地法人を設立した。最近では、三菱東京UFJが四川省成都、三井住友が瀋陽、みずほコーポレートが蘇州に支店を開設するなど、内陸部への進出も始まった。
支店開設の免許はなかなか下りないが、三菱東京UFJの永易克典頭取が早期に20拠点を設立したいと語るように、意欲は旺盛だ。
規制も多いので現地金融機関との提携も進めた。三菱東京UFJは中国銀行に出資し、主な提携先は国家開発銀行、中国輸出入銀行、招商銀行など。みずほコーポレートは中国国家開発銀行、中国輸出入銀行と提携、中信銀行に出資もしている。三井住友も中国銀行、中国工業銀行、中国農業銀行と提携。
リーマンショック後、中国に進出したいという相談が中堅・中小企業からも増えたため、国際部など専門部署だけでは対応し切れなくなり、昨年からは各行とも国内の各支店でも対応するようになった。
みずほコーポレートでは02年から専門の“中国室”を設けている。取引先企業の進出プラン策定から、稼働後の管理までフォローする提案をしている。中国営業推進部の山谷広典次長は、「地方政府には第3次産業誘致のノルマがあり、内陸部の場合は外資の誘致自体に熱心。だが、簡単に乗ってしまうと、後からトラブルになる可能性がある。そのため、最初の段階からアドバイスする意味がある」という。
いざ工場稼働、という段階で、高速鉄道が通るから移転してほしいといわれた、といったケースが日常茶飯事。規制も頻繁に変わるので、金融当局や現地政府の状況を絶えず把握していなければならない。ただ、「状況に合わせて規制を変えるスピード感は、ビジネスにはよい面もある。日本のほうが硬直的といえる」(山谷次長)とも。