中国進出第4次ブームで商機うかがうメガバンク
日本企業に強みがあり進出が増えているのが、環境関連のインフラビジネス。省エネ、汚染防止、水の浄化、再生可能エネルギーを使う街づくりなどだ。環境関連のプロジェクトをめぐる現地政府との提携案件が増えている。
三井住友では日本国内で昨年7月に成長分野を選定して、専門家を集めた成長産業クラスタープロジェクトチームを作っている。「日本の場合、欧米のような巨大な総合メーカーが少ないので、環境関連では、企業連合を組織して売り込む。プロジェクトチームに、水・資源・新エネルギーの専門家たちが集まっており、中国現地と連携している」(伊藤貴夫グローバル・アドバイザリー部長)という。「現地からはすでに30年後の高齢化社会を見越して、日本の老人ホームのノウハウを得たいという依頼もあった」(伊藤部長)。
中堅企業に多い統括本社設立ニーズ
取引先日系企業からの相談で最近増えているのは、現地統括会社の設立だ。グローバル企業はすでに陣容を整えているが、「中堅の上場企業が、中長期を見据えた中国での事業戦略を見直し、研究開発やマーケティングの機能も備えた統括会社を作ろうとしている。組織や必要な機能づくりの相談、先行しているグローバル企業はどのように取り組んでいるのかというヒアリングが多い」(三菱東京UFJ・野口雄三調査役)。
中国の場合、税務や法務のリスクもあるため、弁護士や会計士の紹介のほか、開発・規制に伴う移転、撤収を迫られることも多いので、総合的なソリューション提案が求められる。
また、人民元は原則中国の中でしか取引できない状態にあったが、人民元の国際化も始まり、資金効率上、どこまで人民元決済を拡大できるか、人民元で海外との決済もできないかなどキャッシュマネジメントや財務機能の統括のニーズも高まった。
「現地の売掛債権の管理の依頼は多く、中国国内で合理的に資金を動かすことが課題になっている。人民元の国際化もにらんだ中長期の戦略が必要だ」(三井住友・伊藤部長)