JR東「インドネシア鉄道支援」で得た意外な教訓 「内向き姿勢」からの脱却、車両メンテの重要性

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――しかし、INKAが国産新車を製造するといっても車両は常に足りていません。今後は(ジャワ島中部の都市)ジョグジャカルタの電化区間も延び、(ジャワ島北部に位置するインドネシア第2の都市)スラバヤの電化工事も今年度以降始まります。状態がいい205系は足回りさえ変えればまだ何十年と使えるので、レトロフィットの可能性はあると個人的には見ています。

当然、205系が動き続けてくれるというのはわれわれの当初からの思いとしてあるし、日本国内でもまだまだ205系は走っているので、十分品質を保てる車だと自負している。その方向性が出てくるのならば、そこは協力したい。

KCI 205系 現行塗装
ジャカルタ首都圏の顔となった205系。カラーもそれとなく日本に似たものに改められた=2024年1月(筆者撮影)

やる気や情熱、学ぶべきは日本人

――インドネシアはASEANの経済大国として地域内での存在感は非常に大きいですが、日本での関心は非常に薄いのが現実です。ニュースもネガティブな内容ばかりが伝わりやすく、そのような先入観があると日本企業はリスクを恐れ、飛び込めるフィールドにすら一歩を踏み出さないということが多々ありますが、実際にインドネシアに赴任されその後の関わりも持たれている前田さんから、読者、また日本の鉄道業界に向けて一言お願いします。

インドネシアの方々というのは先ほども述べたとおり、平等性を保つというところがある。絶対あなただけしか付き合わないから、というのではなくて、いろいろと声をかけていろいろな面で見て、その中でよさを感じたところと取引されるというところだと思っている。過去の高速鉄道の件もあって、「ウチだと言ってたのにほかに……」というところだけを色濃く取り上げる論調になるのかもしれないが、悪いようにしようとしてそうしているとは私はまったく思っていない。

JR KCI 社員教育
日本でJR東日本社員から教育を受けるインドネシアの鉄道社員ら(写真:JR東日本提供)
JR東日本 前田氏
インタビューに応じる前田健吾・JR東日本鉄道事業本部モビリティ・サービス部門未来創造ユニットリーダー(編集部撮影)

むしろ、日本では最近忘れかかっているような、先を見据えてどうありたいかをまず考えて、それに向かってどう進んでいくか日々模索している元気のいい国だと思っている。学ぶべきは日本人なんじゃないかなと。高度成長期の日本はそうだったのかもしれないが、少なくとも今、私が両国で働き、両国の方々とお付き合いをさせていただいて、日本人からだけ見たインドネシア評というのは大きな誤解を招くところはあるのかなとは思っている。

よそから知って自分たちの肥やしにするというようなやる気や熱い情熱、もっと知りたいという意欲は、本当に見習うべきところだ。それは私も感じさせてもらったところなので、社内にもそういったところは口酸っぱく広げているところと考えている。

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高木 聡 アジアン鉄道ライター

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たかぎ さとし / Satoshi Takagi

立教大学観光学部卒。JR線全線完乗後、活動の起点を東南アジアに移す。インドネシア在住。鉄道誌『鉄道ファン』での記事執筆、「ジャカルタの205系」「ジャカルタの東京地下鉄関連の車両」など。JABODETABEK COMMUTERS NEWS管理人。

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