結婚できる高所得層・できない中間層の残酷格差 女性が求める男性の年収と実際の年収の乖離

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20代夫婦の子無しと子有りの夫の年収構造の違いを見ると一目瞭然です。まだ子の無い夫婦の場合は、最頻値こそ10年間で300万円台から400万円台へと上昇しましたが、全体数はほぼ一緒です。しかし、子のいる夫婦で見ると、夫年収500万円以上は10年前と子のいる世帯数はまったく減っていませんが、それ以下の層、特に夫年収150〜400万円のかつてのボリュームゾーンだけが大きく減少しています。

いうなれば、夫の年収400万円未満の中間層だけが結婚できなくなっており、年収の高い層だけが結婚をして子どもを持てるようになってしまっているわけです。

問題の本質は「結婚したいのにできない」人々

繰り返しますが、「結婚したいなら相手の年収条件を下げなさい」と言ったところであまり意味はありません。結婚相談所などに入って相談しても、多分同様のことを仲人さんに言われることと思いますが、「自分より稼げない男性と無理に下方婚するくらいなら別に独身のままでいい」となるだけです。

こうしたことが結果として「金を稼げない男と金を稼ぐ女には結婚相手がいない」という現実を生み、婚姻数はますます減っていくのでしょう。

もちろん全員が結婚すべきであるというつもりも毛頭ありません。「結婚しない」という個人の選択的非婚の自由は尊重されるべきでしょう。しかし、選択的非婚が増えたとはいってもせいぜい2割程度であり、実は問題の本質は「結婚したいのにできない」という不本意未婚が男女とも4割以上存在するということのほうです。(参照→「不本意未婚」結婚したいのにできない若者の真実

こうした若者の不本意未婚が増えていることが20代男女の中間層の婚姻約4割減と直結しているのですが、そこには「希望と現実の大きな乖離によるマッチング不全」が立ちはだかっているのです。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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