外国人観光客に高い料金「二重価格」設定は差別か 円安で過熱するインバウンド消費を逆手に取る?

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そもそも外国人がすべて円安の恩恵を受けた裕福な人たちだけではない。バックパッカーと言われる、安い費用で海外の文化に親しみ、人々との交流を楽しむ若者も多い。

彼らにはむしろ、安い料金で日本旅行を楽しんでもらいたいと思う。それが長い目で見たときに国益にもかなう。「おもてなし」に反するような安易な「外国人価格」は結局、市場で支持を得られず続かないだろう。

日本人の中にも嫌悪感情がうまれる

相手との駆け引きで契約条件を決めるようなことに慣れていないこともあり、相手の顔や懐具合を見て値段を決める商売を感情的に「えげつない」と感じる日本人の国民性もある。

そもそも「失われた30年」といわれるように日本の長期にわたる経済停滞は諸外国と比べて顕著で、異常なほどの円安は国力の低下を示すとの意見も多い。世界各国の物価比較においては、イギリスの経済誌『エコノミスト』が作成する「ビッグマック指数」がよく引き合いに出される。最新の結果(2024年1月公表)を見ると、次の通りだ。

(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

ビッグマック指数

インバウンド消費が顕著であることも頷ける。韓国、中国、タイより日本のビッグマックは安いのだ。しかし、日本の物価を安いと感じる外国人には、より多くお金を落としてもらうだけでなく、構造的な問題を解決することも重要だ。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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